2009 Fiscal Year Annual Research Report
場の理論に基づく疲労き裂発生過程のマルチスケールモデリング
Project/Area Number |
21560092
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長谷部 忠司 Kobe University, 工学研究科, 准教授 (20237994)
|
Keywords | 場の理論 / マルチスケールモデリング / 結晶塑性論 / 疲労き裂 / 転位論 / 計算力学 / マイクロメカにクス / 固体力学 |
Research Abstract |
申請者自身が独自に提唱している場の理論(FTMP)に基づく不適合度テンソル場モデルを結晶塑性有限要素(FE)解析に適用し,単一すべりを示す方位を応力軸に設定した単結晶モデル内にバンド状に種々の初期ひずみ分布を付与することにより,低ひずみ振幅繰り返し負荷下で発生する固執すべり帯(PSB)の模擬を試みた.同モデルに対し,完全対称両振り引張-圧縮の繰り返しひずみを数十サイクル与え,PSB部をはじめとするモデル内での不均質場の発展について調べた.ここでは,とくに転位のラダー構造に対応する矩形波状の初期ひずみ分布を与えたところ,実験観察および離散転位シミュレーション結果より想定される転位壁およびチャシネル部における塑性ひずみ集中および弾性ひずみエネルギ分布を簡便かつ自然に再現できることが明らかとなった.とくに,ひずみエネルギは,表面近くで上昇する傾向を示し,表面の持つ特異性に関する重要な知見を得た.上記と平行して,同様のPSB部を模擬した単結晶モデルに対する原子空孔の拡散シミュレーションを実施した.ここでは,系全体の変形を担っているとされるチャンネル内のらすか転位群の運動に着目し,それらの間の相互作用(双極対の動的形成と消減)の結果生成されると思われる原子空孔群を想定し,幾つかの初期ひずみエネルギ分布に対する拡散シミュレーションを行った.その結果,上記FE解析で得られたひずみエネルギ分布を初期条件として与えた場合のみ,理想的な空孔濃度分布およびPSB部に沿った表面への空孔拡散が得られた.さらに原子空孔のフラックスより,表面での溝形成シミュレーションを行い,最も効率的に入込みが形成される条件について検討を加えた.その結果,PSB内での転位壁が表面に近く位置するほど,溝形成速度が増加すること等が明らかとなった.これは,離散転位シミュレーションにより最近得られている結論と整合している.
|
Research Products
(3 results)