2009 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウム合金の冷間・温間多軸圧縮変形下における成形限界クライテリオンの解明
Project/Area Number |
21560094
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 一郎 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (10263625)
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Keywords | マグネシウム合金 / 成形限界 / 多軸圧縮 / 塑性変形 / 変形双晶 |
Research Abstract |
本研究は,マグネシウム合金の多軸圧縮破壊の主因とその経路依存性を明らかにし,圧縮応力下における成形限界規準を定式表現することによって,圧縮塑性加工工程の最適化に寄与することを最終目的として実施するものである.今年度はまず最初に,研究代表者が開発・製作した経路可変型二軸圧縮試験システムに対して,荷重変動の高精度評価および温度と荷重の同期記録が可能となるように改良を施した.続いて,初期等方性であるAZ31マグネシウム合金鋳造材および初期異方性を有するAZ31マグネシウム合金押出し材を用いて,種々のひずみ比で比例経路二軸圧縮試験を破壊まで実施し,塑性挙動および成形限界を詳細に調査した.その成果として,初期等方性素材では,ひずみ経路に依存した変形双晶発生状況の差異によって,比較的早期に塑性異方性が成長すること,一方の初期異方性素材においては,初期状態の影響が後続する異方性成長に少なからず影響を及ぼすこと等を明らかにした.また,圧縮破壊は応力-ひずみ関係上で明確な予兆なく起こり,その破壊形態はせん断型に近いこと等の特徴を得た.さらに,既存の成形限界規準の適用性について検討を行った結果,従来型のフリーダンサールや大矢根の規準では統一的な成形限界評価が困難であることがわかった.一方,最大せん断応力に関連するトレスカのエネルギー規準を用いると,若干の経路依存性は残るものの,比較的良好に成形限界を評価できることが確かめられた.これらの点については,今後さらに結晶学的な観点に基づいた補正を試み,評価基準の更なる精度向上を図る計画である.
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