2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属と高分子材料の直接接合における新しい技術の開発
Project/Area Number |
21560097
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
きゅう 建輝 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (40244511)
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Keywords | 高分子材料 / 金属 / 接合 / 界面構造 / 接合強度 / メカニズム / 疲労 |
Research Abstract |
今年度は主に接合のメカニズムおよび耐久性に関わる疲労破壊特性を重点的に検討した。フェノール樹脂/アルミニウム接合体はホットプレスで成形し、PPS/アルミニウム接合体は射出成形で作製した。その結果は次の通りである。(1).表面処理によって,金属表面粗さが減少した。また、FT-IRの測定結果から、シランカップリング剤とアルミニウムはSi-O-AlもしくはSi-O-H-O-Siを形成して結合し、有機官能基が表面側に残っていることが示唆された。(2).未処理のアルミニウムでは接合することができなかったが、表面処理剤の種類によりフェノールと金属の接合強度が異なり、γ-GPSが14.2MPa、N-(β-AE)-γ-APSが12.5MPa、γ-McPSが10.5MPaの引張せん断強度を示した。(3).表面処理したいずれの接合体の破断面にもフェノール樹脂が付着していた。FT-IRの測定結果より、γ-GPS,N-(β-AE)-γ-APSはフェノール樹脂との化学結合、γ-McPSはCH_2基同士の絡み合いを形成している可能性が示唆された。(4).前処理を施したアルミニウムを3.5wt%濃度のヒドラジンー水和物水溶液に浸漬することにより、射出成形でもPPS/アルミニウム接合体が作製できることがわかった。また、アルミニウムの表面処理時間を長くした方が接合に有利で、例えば、2minで約15MPaのせん断強度が得られた。さらに、表面処理後のアルミニウム表面をSEMにより観察したところ、浸漬時間が長くなるにつれ表面に小さな孔が形成されていたことから,この孔中にPPS樹脂が侵入し,アンカー効果も起きたことが示唆された。(5).接合体のせん断疲労強度は基本的に表面処理方法および静的せん断強度に依存することがわかる。例えば、γ-GPSで処理したフェノール/アルミニウム接合体(せん断強度:約14.2MPa)は疲労負荷7MPaで10_7回に達しており、疲労破壊強度はせん断強度の約1/2である。また、PPS/アルミニウム接合体では疲労負荷に敏感であり、疲労破壊強度は静的せん断強度よりかなり低くなっている。
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Research Products
(2 results)