2010 Fiscal Year Annual Research Report
超微細粒金属の力学的評価のためのトリプルスケール転位-結晶塑性モデリング
Project/Area Number |
21560100
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
志澤 一之 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80211952)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 吉輝 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究員 (70433737)
|
Keywords | 超徴細粒金属 / マルチスケール / 結晶塑性 / GN転位 / 均質化法 / 降伏点降下 / リューダース帯 / 寸法効果 |
Research Abstract |
平成21年度に構築したAsaroの平面二重すべりモデルに基づく2次元トリプルスケール結晶塑性スキームにおいて,FCC結晶の12すべり系を全て考慮できるよう結晶塑性構成式を3次元に拡張した.一方,FEM解析においては計算コストの低減を図るため,平面ひずみ問題に限定して2次元計算を行えるよう,上記の3次元構成式と合わせて擬似3次元トリプルスケール結晶塑性スキームとなるように改良を加えた.その際,結晶粒の超微細化にともなって粒内転位が枯渇し,粒界が転位源の役割をなすことを想定した粒界転位源モデルを平成21年度と同様に本スキームにも適用した.さらに,数十個の結晶粒からなるユニットセルを用いた均質化法によってマクロ構造を解析する際,使用する有限要素をクロスドトライアングル要素から8節点四角形要素に改めることで,粒径の異なる試験片において要素形状がせん断帯の発生予測に及ぼす影響を大幅に低減することも試みた.以上のモデルを粒径の異なる超微細粒焼鈍材に適用し,降伏点降下,リューダース帯の伝ぱ,変形の局所化などの粒径依存性を再現し,得られる応力-ひずみ曲線が平成21年度の2次元解析の結果に比べてより精度よく実験結果を再現できることを確認した.また,粒径のサブミクロン化に伴って材料は塑性不安定状態に陥りやすく,塑性変形の局所化が起こりやすいために脆化傾向を示すことに言及した.さらに,超微細粒材においても焼鈍を施さない場合には粒内転位がある程度存在することに起因し,微細粒焼鈍材よりも延性が若干向上することを明らかにした.加えて,FCC超微細粒金属用に開発したGN結晶欠陥に基づく上記モデルをMg(HCP結晶)にも応用し,双晶発生に伴う結晶格子の大回転モデルを導入することで,Mgの親粒内に多数発生する双晶バンドが粒を分断して微細化が促進される様子を再現することにも成功した.
|