2011 Fiscal Year Annual Research Report
超微細粒金属の力学的評価のためのトリプルスケール転位-結晶塑性モデリング
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21560100
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
志澤 一之 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80211952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 吉輝 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究員 (70433737)
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Keywords | 超微細粒金属 / マルチスケール / 結晶塑性 / GN転位 / 均質化法 / 降伏点降下 / リューダース帯 / バイモーダル構造 |
Research Abstract |
FCC微細粒焼鈍材は,粒径の減少に伴う初期降伏応力の増加,降伏点降下およびリューダース帯の伝ぱなど,通常のFCC金属には表れない特異な力学特性を示すことが知られている.微細粒焼鈍材には転位密度が極めて低い結晶粒が存在することが確認されており,そのような粒においては粒界が転位源の役割を果たすと考えられている.一方,結晶粒微細化により強度は飛躍的に向上するが,粒径のサブミクロン化に伴って延性が著しく損なわれるという弱点を有する.このような問題を解決するため,微細粒よりやや粒径の大きい粗大粒が微細粒組織に混在するよう,材料をBimodal構造に変更して延性を向上させようとする手法に注目が集まっている。Bimodal金属では微細粒に対する粗大粒の粒径比および体積比によって力学特性が大きく異なるため,粗大粒の力学応答に及ぼす影響を計算力学的に解明することが期待されている. そこで本年度は,転位密度が極めて低い結晶粒をもつ超微細粒金属材料に対応した臨界分解せん断応力モデルを用いた擬似3次元トリプルスケール転位-結晶塑性FEM解析をFCC微細粒焼鈍材から成るダンベル形試験片(っかみ部含む)に対して実施した.まず,様々な形状初期不整を試験片に導入することで,実験で観察される様々なモードのリューダース帯とその伝ぱを再現した.次に,粒径に応じた初期転位密度を各粒に与え,上記と同様にトリプルスケールFEM解析を実施し,その解析結果に基づいて,Bimodal金属における微視的な降伏状況および転位蓄積状況から延性改善のメカニズムについて考察した.また,Bimodal構造において,微細粒と粗大粒の粒径比の違いならびに粗大粒の体積分率の違いが材料の延性に及ぼす影響について検討した.さらに後者の検討結果から,強度をほとんど損なうことなく延性のみを改善する望ましい微視構造について言及した.
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Research Products
(6 results)