2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560103
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
齋藤 賢一 関西大学, システム理工学部, 准教授 (90294032)
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Keywords | 計算力学 / 粒子法 / 固体力学 / 分子動力学 / SPH法 / マルチスケール解析 / 金属物性 / ナノクラスター |
Research Abstract |
本研究では、材料の機能・強度・形態の評価のための計算力学の解析方法として、「ユニバーサルな粒子法」の構築を検討している。研究期間最終年度である本年度は、粒子法のユニバーサル化およびマルチスケール解析への適用について研究遂行した。 ミクロ情報に基づいてマクロ粒子法の計算を行うマルチスケール的なパーティクルモデリング(PM)法を構築した。ミクロ情報として、原子間相互作用を表現する原子間ポテンシャルが既にあるので、この原子論的なエネルギーと密度や構造を基にして、実材料のモデリングに要するより大きなマクロ粒子系を設定し、粒子間相互作用等を構築する方法を開発した。その結果、小変形に対応する弾性的挙動については弾性係数の実験値などの実測値と非常に合致する結果となった。大変形に対応する塑性変形についても、2粒子間相互作用関数を工夫することで別に実験で得られた純アルミニウムの実測値の再現を試みたが、経験的なパラメータフィッティングに留まる状況となっている。完全にミクロ範囲のシミュレーションである分子動力学法の結果から、塑性変形に寄与するパラメータを抽出する工夫が、今後一層必要である。しかしながら、このPM法の多種多様な負荷状態への応用可能性を見るため、はり構造の曲げ変形に適用することにも成功した。また一方で、分子動力学法における塑性変形の素過程に関する挙動を理解する有意な研究を多々行った。巨大ひずみ下の多結晶体の結晶粒界挙動、金属へのナノインプリントによる転写機構、量子ドット構造における原子応力・ひずみ解析、銅合金の原子レベル摺動機構などのテーマが遂行され、原子レベルの材料挙動を深く理解することに成功した。また、開発したPM法と既存手法のSPH法の比較などを行っている。
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