Research Abstract |
地球環境問題が深刻化しており,世界中の工場で昼夜を問わず利用されている工作機械においても,有効な省エネルギー化技術が望まれている。本研究では,工作機械制御への有効性が確認されている輪郭制御法を,5軸工作機械を対象とした方法に拡張し,省エネルギー効果ならびに制御性能の検証を行うことを主な目的とする。5軸工作機械は段取り替えが少なく工具寿命や仕上げ面を向上する等の利点を有し,近年需要が拡大しているため,有効な省エネルギー制御法が必要であると考える。 平成23年度の研究では,平成22年度までの研究において提案した輪郭制御法を,本研究において製作した3軸工作機械装置に実装し,省エネルギー効果の検証を行った。まず,多くの工作機械に用いられる単一軸を複数のアクチュエータで駆動する方式を対象にした同期制御法に,輪郭制御法を組み合わせた制御法を提案・応用し,加工を行わない状態で省エネルギー効果を検証した。この結果,輪郭精度を維持しつつ,約10%の省電力効果が得られた。また,同期制御の併用により同期誤差が約18%低減した。つぎに,提案法を5軸工作機械装置に応用し,回転軸の同期制御とこの動作によるテーブルの姿勢制御を行い,加工を行わない状態で省エネルギー効果を検証した。3軸動作に比較して駆動軸数が増加し,制御系も複雑になるが,同様に輪郭精度を維持しつつ約10%の省電力効果が確認された。また,従来の5軸制御法では推定できなかった工具姿勢に関する輪郭誤差がリアルタイムで推定可能になることを前年度の研究でシミュレーションにより確かめているが,『この有効性についても実験的に確認された。さらに,加工実験を実施し,この場合には制御入力電圧の変動低減がより顕著になり,約28%の省電力化を達成することができた。以上の研究成果の一部は,英文ジャーナル誌1編および国際会議論文1編として採択された。
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