2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ-マイクロ構造による機能性表面を有する切削工具技術の開発に関する研究
Project/Area Number |
21560123
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
榎本 俊之 Osaka University, 工学研究科, 准教授 (20403149)
|
Keywords | 切削加工 / トライボロジー |
Research Abstract |
切削加工において工具の長寿命化は極めて重要な課題であり,工具摩耗や切りくず凝着による工具折損のさらなる抑制が強く求められている.これに対し研究代表者は切削工具表面に微細な三次元周期構造を形成することで新たな機能を発現する切削工具を研究開発している.そして実際にフェムト秒レーザを用いて表面にナノ-マイクロメータオーダの周期構造を有する切削工具を開発し,切りくず凝着による工具折損が生じやすいアルミニウム合金切削において,優れた耐凝着性・潤滑性を達成することができた. 本年度は機械的・熱的摩耗が激しく生じる鉄鋼材料切削において,工具の長寿命化を実現できる工具表面の微細構造について検討を行った.まずアルミニウム合金切削において有効であったナノ-マイクロメータオーダの微細溝を表面に有する切削工具を適用したところ,通常工具と同程度の工具摩耗が生じ,微細周期構造による効果が得られないことがわかった. こうした問題を解決するために,フェムト秒レーザを用いて表面に溝幅・溝澗隔20μm,溝深さ5μmの一方向からなるストライプ状の周期溝構造(マイクロストライプ)を有する超硬工具を新たに開発した.そして現有のマシニングセンタを用いてS53Cをフライス切削加工したところ,微細構造を有さない通常工具に比較して工具摩耗を60%程度抑制することができ,その優位性を確認することができた.そして現在はさらなる工具摩耗の抑制を目指し,微細構造等の最適化に関し研究を実施しており,すでにトライボロジー特性からいくつかの有意な結果を獲得しつつある.一方,切削工具メーカや加工メーカと情報交換を行うことで,本研究の方向性について明らかにすることができ,実際の加工現場への展開を次年度に検討することとした.
|