Research Abstract |
研究の当初,昨年度までに開発したプロセスに基づき,超臨界ガス含浸法で型(B型,ポリスチレン製)を膨張させ,これを成形型(C型)中に埋設した.しかし,このプロセス中にB型が再発泡してしまい正確に形状転写がなされなかった.また,成形後のC型の熱脱脂特性にも問題があり,さらに成形までのプロセスのステップ数が多いため,昨年度に構想していたプロセスは全体として合理的でないと考えられた. そこで本年度はプロセス全体の流れを改良し,元形から転写したメス型を発泡膨張させ,これをバックアップ型で支えて直接成形型とし,これに遠心力下で粉末を充填・成形する方法を構想した.これにより,プロセスのステップ数は4ステップに減少すると共に,上述の諸問題を回避できると思われる.ただし,新たな成形型には従来とは異なった諸特性が要求されるため,プロセス成立に関わる諸問題を洗い出し直して,型樹脂の選定と型作成条件の確立のための一連の研究を行った. 元型の素材はパラフィンである.従って,成形型は常温で硬化するタイプのものが必要となる.ただし,常温で型転写が可能なエポキシやウレタンと言った反応硬化型の樹脂では,その後の発泡膨張が上手く行かないことが既に確認されている.そこで今回は,水溶系のPVA樹脂と,昨年度までの研究で発泡実績があるポリスチレン樹脂をスチレンモノマーで希釈した樹脂系を選択した.これらの液状樹脂中に元型をつけ込んで取り出し乾燥させることで,パラフィンの元型の周りにカプセル状にPVAやポリスチレン樹脂の被膜を生成することが出来た. ただし,PVA樹脂に関しては,超臨界ガス含浸法で発泡膨張させることが出来なかった.これは,従来の窒素に替えて,一般的に含心が進みやすいとされる二酸化炭素に含浸ガスを変更しても,同じ結果であった.一方で,ポリスチレン樹脂は,樹脂単体を射出成形により成形した場合に比べると発泡量が減少したが,ガスを含浸させて膨張させる事が可能であった. 来年度以降は,以上の結果に基づいて,プロセス全体の成立を目指して,研究を行っていく予定である.
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