2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しい粉末冶金法による金属・セラミックス生体インプラントのオンデマンド複製
Project/Area Number |
21560125
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 裕之 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (90284158)
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Keywords | 高速遠心成形法 / 人工骨 / 人工歯 / オンデマンド成形 / ネットシェイプ成形 / 超臨界ガス含浸 / アルミナ焼結体 / ストレスフリー脱型 |
Research Abstract |
本研究は,人工骨や人工歯といった,一品ごとに形が違う医療素材を,寸法と形状を保持しながら金属(例えばチタン)やセラミックス(例えばアルミナ)製品にオンデマンドで複製する技術の開発である.本研究室で開発した高速遠心成形法を中心に据え,これに樹脂型作成技術を組み合わせた粉末冶金プロセスにより目的を達成する. 研究最終年度となったH23年度の研究では,前年度までの研究をさらに洗練することを主眼として,研究項目全般にわたって改めて研究開発を行い,最終的に下記の結果に至った. i)元形からHCP用成形型の作製:歯科技工士が行っている現有の技術をベースとし,印象型(ロウ)→石膏型(メス型,既存の歯科技術)→発泡型(オス型,射出成型)→超臨界ガス含浸発泡(オス型)→成形型(メス型,エポキシ樹脂)→成形型中の発泡型除去(溶剤法)の樹脂転写技術を完成した. ii)HCP成形に関して:発泡型を成形型樹脂に浸けて取り出して乾燥し,その表面に薄いシェル状の型を生成するいわゆるディップ法により,薄膜のシェル型として成形型を得た.この方は強度が弱いため通常のHCPでは崩壊するので,シェル型自体をHCP中の泥漿中に埋設しながら成形する「埋設成形法」を開発し,成形中の静水圧を利用して,型の崩壊を防ぐことが出来るようになった. iii)ストレスフリー脱型:熱脱脂法を採用した.約10種類の樹脂の熱分解挙動をTG-DTAにより調査し,結果として出来るだけ熱分解温度が低く,また残留炭素分の少ない樹脂系を見出すことに成功した.さらに,成形型と粉末成形体の熱膨張差が大きいと成形体が割れることが分かったため,成形型樹脂にアルミナフィラーを混入し,これにより成形型と粉末成形体の熱膨張率を近づけ,製品の割れを防ぐ方法も合わせて開発した.結果として,ほぼ割れが無い形で,脱型が出来るようになった. iv)脱脂・焼結:前述のi)~iii)までの技術を洗練することで,少なくともアルミナ質焼結体に関しては,ほぼ割れなく焼結製品が得られる段階まで開発は進んだ.
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