2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560130
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
松村 隆 東京電機大学, 工学部, 教授 (20199855)
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Keywords | マイクロ加工 / 切削 / 硬脆材料 / サファイア / 切削力 / 異方性 / エンドミル |
Research Abstract |
サファイアのボールエンドミル切削では,工具を送り方向に傾斜させる.まず,この工具姿勢が工具摩耗と仕上げ面粗さに対して以下の効果があることをシミュレーションに基づいて議論した. (1)実切削時間が短くなるため,切削温度が下がり,工具摩耗が抑制される. (2)切削点が高くなり回転半径が大きくなるため,切削速度は上がり,その変動範囲が少なくなる.そのため,一様で良好な仕上げ面が得られる. (3)脆性材料では,切れ刃稜線の粗さが仕上げ面に転写される.工具傾斜により,その影響を抑えられる. 次に,脆性損傷や溶着のない仕上げ面を得るための切削条件と作業工程を検討し,以下の結論を得た. (1)結晶面によって仕上げ面あらさが異なり,a,c,r面ではr面の切削において,最も良好な仕上げ面が得られる. (2)m面に対するエンドミル切削では,スピンドル回転数5000rpmと20000rpmの場合に最も良好な仕上げ面となった.なお,この影響は,スピンドルや工具の動的振れにも依存する.また,送り速度の影響では,送り速度が小さいほど良好な仕上げ面となる.さらに,いずれのスピンドル回転数と送り速度でも,工具をc軸方向に対して直角方向に送ると良好な仕上げ面が得られる. (3)サファイアのエンドミル切削では,脆性損傷とともに溶着を抑制する必要がある.材料の溶着を抑制するためには,できるだけ低い切削温度で加工することが望ましい.これを踏まえ,工程分割によって軸方向切込みを数回に分けることで,溶着に起因する仕上げ面粗さの劣化を抑えることが可能である. (4)エンドミルによる溝加工では,切れ刃が材料から抜ける縁部の近傍で脆性損傷が生じやすい.これを抑制するために,あらかじめ切れ刃の出口部に微小切込みで溝を加工し,その後に所定の深さで溝加をする.
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