Research Abstract |
申請者は今年度,従来の薄肉吸収部材の体系とは異なる新しい荷重制御型衝撃エネルギー吸収部材のメカニズムを明らかにするために,理論的ならびに解析的な研究を行った.とくに,薄肉筒体における隔壁の役割や圧潰モードにおける表面波の役割について検討を行った.これらの研究に基づいて,小円錐を複数組み合わせて構成され,主に圧縮-膨張変形によってエネルギーを吸収する入り込み型吸収部材の衝突エネルギーの吸収メカニズムを明らかした.具体的に,入り込み型吸収部材の衝撃エネルギー吸収部材について,衝撃力のピークおよびエネルギー吸収能率を決定するパラメータである,衝撃力の平均値の予測手法や,それらの指標を支配する主な形状幾何および材料のパラメータなどを明らかにした.また,変形モードや潰れ代(潰れきる変形量)などについて検討を行い,変形モードと設計の関連性を指摘しながら,設計に指針を与えるための,変形モードを提案した.とくに,入り込み型吸収部材の軸圧潰におけるピーク応力,平均応力を支配する形状因子,材料因子について検討を行い,(a)形状因子(部材の肉厚,外径および傾斜角度)による影響,(b)材料因子(部材の塑性降伏や加工硬化特性)による影響,などを明らかにし,さらに検討結果に基づき,入り込み型吸収部材のピーク応力および平均応力を支配するマスターカーブを作成した.また,慣性力や材料のひずみ速度依存性による影響を明らかにするために,衝撃荷重に対する衝撃速度の影響を考慮した数値シミュレーションを実施すると同時に,変形モードに対する衝撃速度の影響を考慮した同様の数値シミュレーション,および隔壁をつける場合の衝撃速度の影響を考慮した同様の数値シミュレーションを実施した.
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