2011 Fiscal Year Annual Research Report
転がり接触面端部および微小転動体の塑性変形進行を考慮した転動疲労現象の解明
Project/Area Number |
21560153
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松本 將 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40367173)
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Keywords | 機械要素 / トライボロジー |
Research Abstract |
最終年度の研究として「転動疲労発生限界に及ぼす微小相対曲率半径の影響の解明」に取り組み、影響が解明できた。転動面が弾性流体潤滑油膜で分離されない表面起点き裂による転動疲労と、転動面が油膜で分離される内部起点き裂の転動疲労それぞれに対して転動疲労試験を実施し、損傷の発生眼界を把握した。実験条件は、接触形態を玉と平板の接触になる単式スラスト玉軸受試験機を用い、玉サイズを0.5mm~6.0mm、接触圧力を2.5GPa~4.0GPaにした。接触面の油膜分離状態は電気導通計測で確認した。得られた結果を次に示す。 1)接触面が油膜で分離されない混合潤滑の場合、表面起点き裂型の転動疲労発生限界は接触圧力のみに支配され、サイズの影響はない。2)接触面が油膜で分離される内部起点損傷でも、サイズの影響が認められない。3)油膜分離の場合の損傷発生寿命は応力体積に基づく転がり軸受の寿命理論にほぼ一致する。4)油膜分離状態の転動疲労発生限界の接触圧力は、油膜非分離状態の場合よりも約20%高い。 以上により、これまで全く不明であった微小玉を用いた場合の転動疲労現象が明らかになった。混合潤滑状態では接触領域が小さいことによる応力体積に現象の影響はないことが分かった。流体潤滑状態では、接触領域の大きさに比例する応力体積の影響が確認された。これにより、従来その適用の可否が分からなかった転がり軸受寿命に対して大サイズの場合の考え方を適用しても良いことが分かった。 なお、最終年度の作業として、第1年度および第2年度の成果も総合して、塑性変形を伴う微小接触領域の転動疲労現象に対する総合考察を実施し、懸案の課題1)塑性変形が生じる場合の損傷は発生位置と限界、2)転動披露発生位置と油膜最大圧力分布と最大接触圧力分布の関係、3)微小相対曲率半径(サイズ)の影響を考慮した転動疲労防止設講手法を提案した。
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