2009 Fiscal Year Annual Research Report
PEEK樹脂軸受の焼付き挙動の温度依存性解明と耐焼付き性向上への設計指針
Project/Area Number |
21560155
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
赤垣 友治 Hachinohe National College of Technology, 機械工学科, 教授 (20149909)
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Keywords | トライボロジー / PEEK樹脂軸受 / 焼付き / 炭素繊維強化PEEK複合材料 / 油潤滑 / 摩擦摩耗特性 / 摩擦面温度 |
Research Abstract |
油潤滑下におけるPEEK複合材料及び未充填PEEK材料(PEEK)の焼付き挙動に及ぼすPEEK表面粗さの影響をすべり速度10~20m/s,荷重294N~1200Nの範囲で調べた.使用潤滑油は無添加タービン油(ISOVG46,滴下潤滑)で,ブロックオンリング型摩擦摩耗試験機を用いて実験を行った.リングは円筒研削仕上げを施した表面粗さ約0.2μmRaの鍛鋼SF540Aを使用した.ブロック試験片はエメリー研磨仕上げで表面粗さを0.03~4.6μmRaの範囲で変化させた.実験時,摩擦トルク及びリング表面下1mm位置での試験片温度を測定した.焼付き面及び発生した摩耗粒子はSEMで観察し,EDSで分析した.以下に得られた結果を示す. (1)すべり速度15m/s以上の高速下では,PEEK及びPEEK複合材料は共に焼付きを生じた.PEEK及びPEEK複合材料の摩擦挙動(焼付き)は摩擦面温度に強く依存し,PEEKは約100℃,複合材料は約140℃を超えると摩擦係数が増加し始めた.その後,PEEKは120~130℃,PEEK複合材料は160~180℃を超えると急激に摩擦係数が増加し焼付きを生じた.尚,摩擦面温度が100℃以下で一定を維持する場合には焼付きを生じなかった.このように,PEEK複合材料はPEEKよりも,混合潤滑や境界潤滑を維持する能力に優れていることがわかった.リング温度を低下させる,あるいは低く維持できれば,焼付きを回避できると思われる. (2)複合材料は,ブロック表面粗さ依存性が小さく,PEEKよりも耐焼付き性に優れた材料であることがわかった. (3)リング温度を低下させるあるいは低く維持するための試みとして,リング摩擦面に強制的に空気を吹き付ける方法とブロック表面に油溝を作製する方法の摩擦摩耗挙動に及ぼす影響を調べた.多量の空気をただ吹き付けるだけでは,冷却効果はほとんどなく,低温の空気が必要であることがわかった.また,油溝を設けることで,わずかではあるが摩擦係数の低下がみられた.従って,油溝の寸法や形状を変化させ,最適値を求めることが必要である.
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