2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560159
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
中迫 正一 呉工業高等専門学校, 機械工学分野, 教授 (30259923)
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Keywords | 機械要素 / 設計工学 / トライボロジー |
Research Abstract |
本年度は,代表的な植物油の一つである無添加の菜種油について,10日間(反応時間240時間)の自動酸化試験を行い,自動酸化反応に伴う過酸化物価(POV),全酸価(TAN)および動粘度の経時変化を測定し,酸化に伴う植物油の変質状況を検討した.さらに,動力循環式歯車試験機による歯車試験を行い,植物油の耐スコーリング性能に及ぼす酸化の影響を検討した. 自動酸化試験は,自動酸化試験装置を用いて行い,フラスコ内に約3Lの菜種油を入れ,マントルヒータにより80℃に加熱した.さらに,乾燥空気を200mL/min流入し,菜種油を強制的に酸化させ,10日間(反応時間240時間)の連続運転を行った. 歯車試験については,試験歯車としてガス浸炭焼入れを施したSCM415H材を使用し,動力循環式歯車試験機を用いて,油浴潤滑の状態で実施した.試験条件は,小歯車の回転数を6000rpm一定とし,単位歯幅当たりの垂直荷重をスコーリングが発生するまで段階的に増加させた. 自動酸化試験および歯車試験の実験結果より,以下のことが明らかとなった. 1.菜種油の過酸化物価(POV)および全酸価(TAN)は,反応時間に伴って徐々に上昇し,10日目(反応時間240時間)には約146meq/kg(POV)および約7.3mgKOH/g(TAN)の最大値を示した. 2.菜種油の動粘度は自動酸化反応により上昇し,例えば40℃における動粘度は36.4mm^2/s(新油)から43.8mm^2/s(酸化油:反応時間240時間)に上昇した. 3.酸化油(反応時間240時間)で潤滑した場合の歯車騒音および歯車箱の振動加速度は,新油の場合と比べて高く,菜種油の酸化に伴い歯車の運転性能は低下することが明らかとなった. 4.試験終了後の光学顕微鏡による歯面観察結果より,試験歯車の耐スコーリング性能は菜種油の酸化に伴い低下することが明らかとなった.
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Research Products
(3 results)