2011 Fiscal Year Annual Research Report
空気力学に基づく航空機の次世代型推力方向制御に関する基礎及び実用研究
Project/Area Number |
21560162
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 務 室蘭工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00302224)
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Keywords | 推力方向制御 / FTV / 超音速ノズル / 噴流 / 数値流体力学 |
Research Abstract |
ジェット推進機などで,排気ノズルからの高速流れをノズルを機械的に動かすことにより偏向させ,推力方向を制御するMTV(Mechanical Thrust Vectoring)に対し,ノズル形状は変化させず,流体力学的作用によって推力方向を変更させるのが流体力学的推力方向制御(Fluidic Thrust Vectoring:FTV)である.MTVでは可動部の機械的機構によって重力が増え,燃料消費や運動性能の低下が大きな課題となるばかりでなく保守経費も増加する.FTVではこれらの欠点が解消される事が期待される一方,排気の制御性が気体力学的振る舞いに依存するため,制御入力(二次噴流流量など)と出力(偏向角など)の関係を正確に知る事が極めて重要であり,実用化にむけて多くの実験・数値計算による大量のデータに基づく研究開発が必要である.本研究では,このような状況を背景にしてFTVに関する気体力学的研究及びFTV開発のツールとなる計算手法の確立を主要な目的とした. 前年度までに,実験装置の設計製作を行い,予備的データを多く取得する事ができた.また,数値計算コードの開発も行い,任意形状の流れ場を効率よく計算する環境も整った.H23年度は研究最終年度であり,前年度までに行ってきた予備実験データを基にしてFTVに,より適したノズルを設計製作して精度をあげた実験データを収集するとともに,数値計算の援用により,従来考えられていた,二次噴流によりノズル内に生じる斜め衝撃波によって流れが偏向するというメカニズムとは別に,新たなFTVメカニズムを発見する事ができた. これらの成果は論文にまとめ学術誌に投稿して採択された,また複数の国内及び国際学会で発表を行った.
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