Research Abstract |
超音波ドップラ流速計(UVP)による固液混相流TVF(Taylor Vortex Flow)のカオス流動の測定については,アスペクト比Γ=3.0,半径比η=0.667の上下固定境界端を有するTVF発生装置を使用した.TVFモードに関しては,それぞれ正規2セルと正規4セルを解析した.正規2セル,4セルモードとも,Reynolds数(Re数)の増加にしたがって,波動TVF,準周期TVFのスペクトル群が明確に捉えられ,スペクトルの線形結合を解析した結果,基本周波数は波動TVFで1つ,準周TVFでは2つ存在することが分かった.しかし,無限遠TVFでしばしば報告される低周波変調成分(カオス成分)については,明確な同定に至らなかった.Re数の増加に従って極低周波成分はしばしば観察されるものの,その存在に不連続であり,Re数によっては観察されない領域も存在した.カオス流動はTVFのミキシングとも密接に関連すると思われ,引き続き綿密な実験を行う予定である. 超音波時間相関法(UTDC)による濃度分布の新しい計測法にしては,低濃度と高濃度に分けてトランスデューサーの空間分解能を試験した.この結果,50ppm,10,000ppmまでの最大濃度について,濃度と反射音波の自己相関係数0.8以上の捕捉頻度に良好な直線関係が得られることがわかり,これより検量線を作成することができた.またこれより得られた軸方向濃度分布を半径方向にスキャニングさせて2次元濃度分布図を描いた結果は,低濃度においては可視化写真から得られたTVF固液混合状態と定性的に一致しており,定常的な濃度分布計測に関しては速度計測と同時に測定できる可能性が得られた. 幹細胞(未分化細胞)の細胞損傷率の測定については,色素法による定性的な方法が可能性として得られたものの信頼性は十分ではなく,引き続き検証して行く.
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