2009 Fiscal Year Annual Research Report
走化性バクテリアによって生じる生物対流中の輸送特性の制御に関する数値解析
Project/Area Number |
21560164
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
柳岡 英樹 Iwate University, 工学部, 准教授 (40281951)
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Keywords | 生物流体 / 微生物 / 酸素 / 走化性 / 計算流体力学 |
Research Abstract |
本研究は,走化性バクテリアにより生じる生物対流中の輸送特性を制御する方法を数値解析により調査することを目的としている.実際の生物対流現象では,容器内に複数のプルームが形成され,そのプルームまわりに生物対流が発生している.このとき,プルーム同士の干渉が生じ,バクテリアと酸素の輸送特性はこの干渉に影響されると考えられる.今年度は,バクテリア濃度の初期乱れによる生物対流パターンの出現頻度やプルームの波長を調査し,さらに,プルーム同士の干渉が酸素とバクテリアの輸送特性に及ぼす影響を詳細に調査している.対象とする容器は浅く,水面から酸素が一様に供給され,懸濁液中には走化性バクテリアが存在している状況を考える.500種類の初期乱れをバクテリア濃度に与えると,プルームの波長と出現頻度が異なる10種類の生物対流パターンが形成される.10種類の対流パターンの中でも,プルームの波長が容器深さの2倍となる対流パターンの出現頻度が最も高い.各対流パターンにおいて,複数のプルームが周期的に形成され,プルームまわりに生物対流が発生する.プルームの波長が短くなるに従い,プルームの中心における下降流の速度は遅くなり,酸素とバクテリアの濃度は低下する.一方,プルーム間ではプルーム同士の干渉が強くなるため,上昇流の速度は速くなり,酸素とバクテリアの濃度は増加する.生物対流が発生しているため,水面近傍を除いて,対流による酸素とバクテリアの輸送が輸送形態の中で支配的である.プルームの波長が短くなるに従い,プルーム同士の干渉が強まるため,容器内全体における酸素とバクテリアの輸送特性は向上し,プルームの波長が輸送特性を決定する一つの要因となる.
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