2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560169
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
内藤 隆 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (80242907)
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Keywords | 渦輪 / 流体輸送 / 渦構造崩壊の抑制 / 流れの可視化 / 流れの不安定性 |
Research Abstract |
1)Head&Tail構造形成のメカニズムの解明 H22年度までの研究によって,軸流を伴う渦輪にHead&Tailの渦構造が形成され,これがPeelingと呼ばれる渦度放出の原因であると推測された.また,Head&Tailの構造は流れ方向の渦度成分ω_xの渦度集中によるものと推測されていた.そこで本年度は,実験的に得られた染料によるストリークラインの時間的な変化とPIVによる速度データを詳細に検討したところ,その推測を裏付ける結果が得られた.また,数値シミュレーションによって得られた速度場から,MicroAVSの機能を用い,Tailが形成される位置から渦線を描いたところ,予測通りHeadの構造へとつながった.また,その時間的変化の様子は,実験で得られた展開と同じ様相を呈した.以上のことから,推測された形成メカニズムへの確信が得られた. 2)Peelingの発生条件の調査 研究計画に沿って,多数の初期条件による速度場のデータ解析を進め,Peelingの形成条件を調査し,次のことが分かった.渦核の半径(r)と渦輪の半径(R)の比(r/R)が大きいほど,Peelingが顕著に現れる.また,同じr/Rの条件であれば,軸流の速度と渦輪の循環の比に依存して,Peelingによって放出される流体量が変化する.初期の外乱の強度がPeelingよる流体の放出量へ与える影響は,それほど大きなものではなかった.数値計算におけるPeelingによる流体の放出量を実験結果と比較すると,傾向は同じであるが,定量的には一致しなかった. 3)可視化実験による高レイノルズ数の軸流を伴う渦輪の実験 軸流を伴う渦輪の研究の幅を広げるため,高いレイノルズ数の場合について可視化実験を実施した.その結果,層流渦輪が形成される範囲においては,これまでと同様の現象が観察され,新しい知見は得られなかった.形成直後に乱流渦輪となる範囲においては,渦輪の移動距離が大きくなることはなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一番重要であるHead&Tailの渦構造とPeelingのメカニズムについての解明が進んできた.論文やWebで情報発信するための準備をすすめている.
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Strategy for Future Research Activity |
高いレイノルズ数の渦輪については,軸流による大きな影響が見られなかった.流体輸送の応用で重要となる移動距離においては,むしろ好ましくない結果となった.そこで,研究の幅を広げる別の方向として,軸流を伴う渦輪の発生装置の改良も取り扱う.渦輪の運動に与える軸流の効果を調査するうえで現在使用している回転円筒を用いた装置は便利であるが,装置のコストやメンテナンスを考えると実用上問題があるためである.
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