2011 Fiscal Year Annual Research Report
乱気流中で自由に飛翔するマイクロエアビークルの開発
Project/Area Number |
21560171
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
飯田 明由 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教育 (30338272)
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Keywords | 流体力学 / 渦流れ / 非定常流れ計測 / バイオミメティクス / 低レイノルズ数流れ / マイクロ飛行機 / 生物流体 / 飛翔制御 |
Research Abstract |
探査用MAVの開発は災害時における人命救助などに活用することができるという実用的な研究意義のほかに流体力学的な特性が生物の進化にどのようにかかわってきたかという基礎科学の面からも重要である.本研究では,乱気流中におかれた昆虫や羽ばたき型のMAVが一般的な固定翼機に比べて,何故安定した飛翔が可能なのかを明らかにし,羽ばたき型MAVの高性能化,小型航空機の安定性に関して検討を行った.特に,本学で開発された乱流発生装置を用いて風洞中に様々な乱れ強さの流れを実現することにより,飛翔昆虫が実際に飛んでいる自然界の流れに近い流れ場を作り,流体力学的な特性を調べたことに流体力学的な意義と本研究の特色がある.乱流発生装置と独自に開発した昆虫型ロボットを用いて以下の知見が得られた.(1)羽ばたき翼の周囲には前縁と後縁によって形成された強い剥離渦がドーナツ状に分布している.(2)固体翼の流体力は主流乱れの増加に伴って低下する.また,主流の乱れが大きくなると前縁からの剥離も大きくなる.(3)羽ばたき翼の場合,主流の乱れが大きくなっても流体力の低下はほとんど見られない.また,流れ場の渦構造も基本的に変わらない.これらのことから羽ばたき翼の場合,生成する流体力に及ぼす主流乱れの影響が固定翼に比べて相対的に小さいことがわかった. (4)(3)の結果が昆虫が乱気流中でも自由に飛翔できる一因と考えられる.これらの実験結果からさらに以下のことが明らかとなった.トンボなどの飛翔昆虫の羽ばたき運動速度と飛翔速度の比であるReduced Frequencyは人工的な飛翔体た比べて非常に大きい.一方,羽ばたき翼周りのレイノルズ数は小さいため,トンボの周囲にある渦は羽ばたきの一周期内では翼の近傍に滞留する.このような渦を利用して流体力を得るため,周囲の乱流の影響が小さい.したがって,乱気流中で安定した飛翔を行なうには,Reduced Frequencyを最適化することが必要となる.飛翔体のサイズ,飛行速度を元にReduced Frequencyを考慮した設計によりMAVの最適化が可能となる.
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Research Products
(2 results)