2009 Fiscal Year Annual Research Report
非圧縮粘性流体の漸近的数値解法の理論的研究とその応用
Project/Area Number |
21560173
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大和田 拓 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (40223987)
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Keywords | 擬似圧縮性法 / リチャードソン補外 / 非圧縮 / ナヴィエ・ストークス / 格子ボルツマン法 |
Research Abstract |
非圧縮ナヴィエ・ストークス方程式の擬似圧縮性法は圧力場をボアッソン解法を用いず、発展的に求められる点で複雑形状の非圧縮流体解析の解法として非常に魅力的であるものの、圧力の時間微分が速度場の発散で計算されることから、連続の式が定常状態以外には満たされず、もっぱら定常状態を求めるのに適した解法と一般に認知されていた。本研究によって以下のことが達成された。1)擬似圧縮性法は非定常の場合でも有効である。すなわち後述するあるテクニックを使えば初期値境界値問題の空間4次時間2次までの高精度の近似解を与えることが実証された。2)擬似圧縮性法は簡単化された圧縮性粘性流体方程式を扱う為、音響モード解が誤差として現れる。これを速やかに減衰させる新しい機構を擬似圧縮性流体方程式に組み込むことを提案し、音響モード解がんだ。3)線形安定性解析に基づき、チェッカーボード不安定性を抑える新しい計算法を提案した。4)擬似圧縮性粘性流体方程式系の初期値境界値問題の解の数学的構造に関して、大きな知見を得た。初期条件として非圧縮ナヴィエ・ストークス方程式系に適合する流れ場を与えても、音響モードは発生する。音響モードが減衰した後、解はゆるやかに変化する。この時、解をマッハ数の二乗で展開すると、初項は非圧縮ナヴィエ・ストークス方程式に従い、次のオーダーの解は非斉次オゼーン方程式系に従い、この解は誤差の初項に対応する。このマッハ数二乗展開の初項の非圧縮ナヴィエ・ストークス方程式の解は擬似圧縮性方程式に対して与えられた初期条件に対応するものである。この性質を利用すれば、異なるマッハ数に対する二つの擬似圧縮性粘性流体方程式の解の適切な線形和によって、誤差の初項を打ち消すことができる。この本研究によって見出された事実は自明ではなく数学的には未だ未解決であるものの、本研究では数値計算によって実証されている。
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Research Products
(3 results)