2009 Fiscal Year Annual Research Report
複合ジェットによるカプセル生成に及ぼす非ニュートン粘性とマランゴニー効果の影響
Project/Area Number |
21560177
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉永 隆夫 Osaka University, 基礎工学研究科, 准教授 (40158481)
|
Keywords | 非線形 / 表面張力 / ジェット / 非ニュートン粘性 / 不安定 / マランゴニー / 破断 / 崩壊 |
Research Abstract |
コア部と円筒部から成る複合ジェットは,表面張力不安定によりコア部流体が円筒部流体により最終的にカプセル化されることが知られている.このような現象はスプレーや製薬などへの応用において重要であるが,最近より微小なカプセル形成が応用上要求されており,微細化技術の向上が求められている. このような状況の下で,微小カプセル形成の成否に最も大きな影響を与える要因として,コア部と円筒部界面での表面張力がある.しかし一般には芯物質や被覆材によりその値はあらかじめ決まってしまうため,界面活性剤などによりその大きさをコントロールする必要があるが,界面の変形により活性剤の濃度変化が起こるため複雑なマランゴニー現象が現れる.さらに材質に通常用いられる高分子流体では非ニュートン粘性が現れるため,カプセル化がおこる大変形時には粘性が大きく変化する.そのため,複合ジェットの不安定性に及ぼす表面張力や粘性の変化の影響を明らかにする必要がある.そこで本年度は,複合ジェットの安定性と崩壊現象に及ぼす非ニュートン粘性の影響を調べるため,粘性項をCarreauモデルで近似した解析を行った.このモデルではパラメータnが0<n<1でひずみ速度の増加に対して粘性が減少する擬塑性流体を,n=1でニュートン粘性を,n>1でひずみ速度の増加に対して粘性が増加するダイラタント流体を表す.簡単のため,コア部流体の密度を十分小さいとした場合,空間周期的に形成されるカプセル形状に関してはnが小さいほどコア部体積がより大きくなる傾向がある.またその場合,変形とともに粘性が徐々に低下するためカプセル形成までの時間はより短くなる.このことから,通常の高分子流体では(n<1),ニュートン粘性(n=1)で予想されるよりもより大きなカプセルがより早く形成されることが予想される.
|