2009 Fiscal Year Annual Research Report
位相トモグラフィーによる屈折率分布の三次元非接触計測
Project/Area Number |
21560197
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
富岡 智 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40237110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 修輔 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30333628)
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Keywords | 応用工学 / 計測工学 / コンピュータトモグラフィー / 熱工学 / 屈折率 / 応用数学 / 位相 |
Research Abstract |
本研究では、三次元的な屈折率分布の計測法の開発を目的としており、その応用例として発熱体近傍の三次元的な温度分布の計測が挙げられる。この実現には、ホログラフィー干渉法により得られる干渉縞の二次元パターンを複数の方向から計測し、コンピュータトモグラフィーをにより再構成する方法を用いる。本年度は、単一方向からの干渉パターンから温度の線積分に相当する積分位相を求め、局所的な対流による温度揺らぎの評価を行った。 コンピュータトモグラフィーにより複数の方向からの干渉像をもとに三次元分布を計算するためには、干渉像の測定誤差が大きい場合には、真の分布からかけ離れた結果になってしまう。本研究の方法は、複数の方向からの干渉像を得るために光学体系を変えながら測定するため、対流による時間的な位相の揺らぎが問題となる。発熱体のない状態および発熱体(半田ゴテ)により温度分布(100℃、サイズ25mm程度)を与えた状態について複数枚の干渉画像を計測し、それらの標準偏差から揺らぎを評価した。発熱体のない状態で標準偏差が約0.4rad、有りの状態で約0.6radであり、また、発熱体の有無による位相差は約10rad程度あった。これらから、半田ゴテを熱源とした場合を用いれば、トモグラフィーのために入力データは10%以下の誤差となることが判った。 また、この干渉画像から位相への変換には新たに高精度な位相アンラッピング法を開発した。位相は、本来、上限下限のない連続な関数であるが、干渉縞から得られる情報は、有界な位相の主値(本来の位相のサイクル数の小数部)であるため、不連続関数となる。これを連続位相に戻す処理を位相アンラッピングとよぶ。従来提案されているアンラッピング処理では、誤った処理を行う確率が高く、特に、干渉画像の境界近傍の誤差が大きかった。新たなアンラッピング法を提案し、この改善が見られた。
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