2010 Fiscal Year Annual Research Report
液体およびその界面における分子スケールヘテロ構造と熱・運動量・物質輸送特性
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21560199
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
小原 拓 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (40211833)
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| Keywords | 輸送特性 / 液体 / 界面 / 分子動力学 / 熱伝導 / 物質輸送 |
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| Research Abstract |
ナノスケール熱流体の新たな機能を見出し、そのメカニズムを解明して応用につなげようとする全体構想のもと、(1)ナノスケール固体構造中に収容された液体、(2)液体界面、(3)液体膜・流動性分子膜、(4)ポリマー分子液体、などが示す低次元化や高非平衡などの特徴を利用して、新たな熱・運動量・物質輸送機能を作り出すための基礎研究を行うのが本研究の目的である。本年度は、直鎖アルカン分子液体について、バルク液体に温度勾配を与えて発生した熱流束を観測する分子動力学ミュレーションをほぼ完了した。その結果は現在検討中であるが、直鎖分子内を強固な共有結合間の振動運動によって輸送される分子内のエネルギー伝搬が支配因子となっていることを見出した。これは液体・固体中で分子が特定の配向をもつときにその方向の熱伝導が卓越することを示唆し、ポリマー液体における構造と熱輸送の特性を示す重要な成果である。また、このアルカン液体にせん断を与えて分子スケール構造の変化と熱輸送特性を解析する系の準備を行っている。さらに、アルカン液体-固体壁の固液界面近傍において構造化したアルカン液体のシミュレーションを開始した。これらに加えて、水中で自己組織化した脂質二重膜について大規模シミュレーションをほぼ完了し、独自に確立した分子間エネルギー伝搬の解析法を用いて熱伝導流束の観測を行った。この結果、膜面平行方向・垂直方向の熱エネルギー伝搬特性が、その構造の影響を受けて異なること(非等方性熱伝導)を見出し、欧文著名誌に報告した。現在、運動量伝搬特性の解析を行っている。
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