2011 Fiscal Year Annual Research Report
液体およびその界面における分子スケールヘテロ構造と熱・運動量・物質輸送特性
Project/Area Number |
21560199
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小原 拓 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (40211833)
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Keywords | 輸送特性 / 液体 / 界面 / 分子動力学 / 熱伝導 / 物質輸送 |
Research Abstract |
ナノスケール熱流体の新たな機能を見出し、そのメカニズムを解明して応用につなげようとする全体構想のもと、特にポリマー液体やソフトマターを主な対象として、界面などヘテロな境界条件において形成される分子スケール構造が示す熱・運動量・物質輸送特性の特異性を解析し、新たな輸送機能を作り出すための基礎研究を行うのが本研究の目的である。ナノスケールの液体において分子スケールの構造と共に動的な輸送特性を解析できる唯一の計算手法である分子動力学シミュレーションにより現象を再現し、分子スケールの構造をキーとしてマクロな熱・運動量輸送特性を解析する手法として、本申請者が確立した分子間エネルギー伝搬の解析法を用いて、エネルギー・運動量を伝搬する構造とその寄与を特定した。まず、バルク状態の直鎖アルカン液体に対する熱伝導シミュレーションにより、熱エネルギーを伝搬する機構を特定し、アルカン鎖のC-C間結合に沿った伝搬がマクロな熱伝導になす寄与が他の伝搬メカニズムに卓越してC24程度で全体の過半に達すること、最終的にはC50程度で70~80%に達して飽和する傾向があることなどを明らかにした。分子内の効率的なエネルギー伝搬が分子間のエネルギー伝搬に卓越してマクロな熱伝導になす寄与を定量的に明らかにしたこの成果は、ポリマー液体一般や分子が配向性をもつ自己組織化ソフトマター一般の熱エネルギー伝搬特性を理解する基礎として、極めて重要なものと考える。 さらに、固液界面の熱抵抗やポリマーの気液界面、せん断を受けるポリマー液体に対するシミュレーションを実施し、現在その結果を解析中である。脂質二重膜の構造と運動量輸送に関する結果と共に、近日中に成果を発表して本研究を完了する予定である。
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Research Products
(8 results)