2009 Fiscal Year Annual Research Report
固体ヒートシンクの伝熱制御によるポーラス樹脂のCO2レーザ溶着の研究
Project/Area Number |
21560203
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
黒崎 晏夫 The University of Electro-Communications, 産学官連携センター, 特任教授 (70016442)
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Keywords | CO2レーザー / ふく射 / 熱伝導 / ヒートシンク / 熱可塑性樹脂 / 不織布 / Tm:ファイバーレーザ |
Research Abstract |
プラスチック材同士の接合は、自動車・医療機器の産業並び、マイクロデバイスの精密加工において重要な技術として注目を浴びている。特にポーラス樹脂材(主として樹脂繊維の不織布)はフィルタ類に用いられ用途は多岐に渡り、接合の場面も多い。ただし、高精度の接合技術は現在のところ確立されていない。 本研究はCO2レーザを用いてのポーラス材の重合わせ溶着を伝熱工学的に検討し,熱移動・熱蓄積現象の新しい利用を考案して次の特徴(1)樹脂の表面をレーザによる熱損傷から守る.(2)同種樹脂材の溶着が可能.(3)レーザ光吸収剤の添加不必要、を有する技術の開発を目的としている。本開発では工業応用を主眼にしているので、生産上問題ないレベル(不織布シートの重ね合せ溶着で100mm/s以上の生産速度)を達成できることおよび、重ね合せ枚数の上限を調べることを目標としている。 今年度の実験により、ポリプロピレン製の不織布(空孔度・肉厚の違う6種類のシート、材料密度で規定:16,25,40,50,70,100[g/m^2])について、光源をCO2レーザとし、回転移動式ヒートシンクを用いて2枚のシートの重ね合せ溶性能を調べた。まずは、回転移動式ヒートシンクの採用で100mmの連続溶着は問題なく実現された。また、実験の主眼は、今回の溶着システムにおいて溶着速度の最大値をそれぞれ見出すこととした。その結果、材料密度の低い(目の粗い)シートほど溶着速度は大きくできることが確認された(最高で150mm/s)。最も密度の高いシートについては、最高速度は80mm/sであった。 これにより当初計画どおりポリプロピレン製不織布の重ね合せ溶着が工業的な生産レベルで可能であることが確認された。
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