2009 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質の機能を活用した液体燃料からの水素のパッシブ生成
Project/Area Number |
21560204
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
奥山 邦人 Yokohama National University, 工学研究院, 教授 (60204153)
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Keywords | 液体燃料 / メタノール / 水素 / 多孔質体 / パッシブ生成 |
Research Abstract |
中空部を有する触媒担持多孔質体にメタノールを含浸させ、内壁に接する熱源によりこれを加熱することで、多孔質体内に形成する気相部と液相部のそれぞれに誘起される熱流とこれに対向する流体流れを利用して、熱源からの熱のみにより液体燃料から水素を効率よく発生させるパッシブ生成法を提案し、その有効性を明らかにすることを目的として研究を行った。 中央の貫通孔周囲に触媒を担持させた多孔質体を、メタノールを含浸させた後、孔内面に接触配置させたコイルヒークにより加熱し、生成する気体の温度、生成速度、組成、エネルギー利用効率、多孔質体内温度分布、また多孔質体素材、寸法などの影響について調べ、以下の結果から同方法が基本的に有効であること明らかにした。 1.生成気体の温度は、加熱量とともにメタノール分解反応に適した温度範囲で上昇し、反応速度も顕著に増加する。生成気体中の非凝縮性成分の組成は反応の化学量論比に概ね等しい。 2.装置から外部への熱損失は原理通り加熱量の増加とともに減少する。実際に反応する分のメタノールの加熱と反応に利用される割合は加熱量とともに顕著に増加する。 3.孔内面付近の触媒担持領域には乾燥域が形成し、乾燥域は反応に適した温度に上昇する。乾燥域の厚さは加熱量とともに顕著に増加する。 4.貫通孔深さ方向の多孔質体厚さを減少させ、その分コイルピッチを減少させると低加熱量における反応速度を顕著に増加させることができる。 5.熱伝導率の大きい多孔質材を使用すると反応に寄与する乾燥域の範囲はより広くなる。 6.毛管限界モデルにより、乾燥領域が形成し始める加熱量を予測することができる。
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