2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560208
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻 俊博 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90110262)
|
Keywords | 自然対流 / 伝熱促進 / 境界層 / 層流 / 乱流 / 共存対流 |
Research Abstract |
これまで、強制対流とは異なる伝熱特性を有する空気の自然対流境界層に関し、伝熱面近くに隙間を設けた傾斜平板列を挿入することにより、熱伝達率の大幅な向上が見込めることが実験的に明らかになっている。そして、傾斜平板に沿う低温流体の伝熱面への侵入と傾斜平板の端面から発生する縦渦が伝熱面近傍の高温流体を周囲へ放出する相乗作用が、このような伝熱促進の主因になっていることが数値解析によって確認された。熱電対およびLDV(レーザドップラー流速計)等を用いた実験結果についても、数値解析結果の妥当性を示すことができた。 この伝熱促進法は、通常のフィンを用いる方法よりも製作が容易で、かつより効果的であり、実用上電子機器等の自然冷却に極めて有用である。これらの実験および解析結果についでは、研究の進捗状況に応じて、これまで公表している。6月開催の第48回日本伝熱シンポジウム(岡山)では、傾斜平板を直接伝熱面に接触させ、フィンとしての効果を併せ持つ条件および伝熱面が波状面であるような場合の伝熱促進についても考察を加え、より進んだ研究成果を発表した。また、学術専門誌Int.J.Heat and Fluid Flowなどにも現在投稿中である。 一方、作動物質が水である自然対流境界層についても、普遍的な伝熱促進技術の開発を目指して、現有の実験装置を改良して、系統的な実験データの取得を試みた。これまでにも、実験と数値解析結果の一部について、国際伝熱会議等で発表しているが、水の場合、高プラントル数効果により速度場と温度場のスケールに差異を生じるため、乱れによる熱輸送(乱流熱流束)も空気の場合より相対的に小さくなることが指摘されてきた(相互相関係数も小さくなる)。しかしながら、壁面熱流束から乱流熱流束に転化される熱エネルギーの割合は水と空気では殆ど変化なく、結果的に、水の方が壁面近傍の浮力効果が大きくなり、平均速度とそれに伴う速度乱れの増加が顕著になるものの、熱輸送に関しては、水と空気で本質的には差異がないことがわかった。このことについては、10月開催の日本機械学会熱工学コンファレンス2011(浜松)で公表した。
|
Research Products
(3 results)