2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560209
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
北村 健三 Toyohashi University of Technology, 工学部, 教授 (20126931)
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Keywords | ナノスラリー / 伝熱 / 対流伝熱 / 伝熱促進 / 物性値測定 / 自然対流 |
Research Abstract |
本年度はAl_2O_3-waterナノスラリーの熱物性値測定と、同スラリーを用いた水平加熱細線まわりの自然対流の伝熱促進実験を行なった。このうちAl_2O_3-waterナノスラリーの熱物性値測定であるが、濃度を1~10wt%、温度を20~35℃の範囲で変化させた場合について、スラリーの比重、粘度および熱伝導率を測定した。比重については浮き子式比重計、粘度については回転粘度計およびウベローデ粘度計、熱伝導率については非定常細線加熱法により測定した。その結果、10,5,3wt%スラリーの粘度は、同温度の水の粘度に比べて、それぞれ30,12,5%高い値となること、また、10wt%スラリーの熱伝導率は、水に比べて7%程度高い値を示すことが分かった。以上の結果を踏まえて、本研究では水平加熱細線まわりの自然対流熱伝達率を測定し、水の値と比較してみた。供試細線は直径0.1mm長さ100mmのNi線で、予め検定した抵抗-温度の関係を用いて、細線まわりの平均ヌッセルト数とレイリー数を求めた。その結果、10wt% Al_2O_3-waterナノスラリーの平均ヌッセルト数は、レイリー数が同じ水のそれよりも12~17%程度低くなることが分かった。この結果は、従来の研究で言われているナノスラリーによる伝熱促進効果を否定するものである。そこで、この原因について考察したところ、直流を通電することにより細線のまわりに界面活性剤が付着し、これが熱抵抗となって細線からの伝熱が低下したとの推論を得るに至った。この結果は、ナノスラリーを伝熱促進に利用する上で注意すべき結果と考えられる。
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