2009 Fiscal Year Annual Research Report
二相流膨張波の吸引力を利用したノンフロン炭酸ガス冷凍サイクルのエジェクタの研究
Project/Area Number |
21560210
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
中川 勝文 Toyohashi University of Technology, 工学部, 准教授 (50135414)
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Keywords | 冷凍サイクル / 炭酸ガス / エジェクタ / 膨張波 / 二相流 / 超音速 / 衝撃波 / 成績係数 |
Research Abstract |
京都議定書が採択され、2012年までに1995年基準で6.0%の温室効果ガスの削減が義務づけられた。現在、空調機に使われているR-134aのような代替フロン冷媒は炭酸ガスに比べ1300倍の地球温暖化係数を持っている。この代替フロンの転換を進め、環境負荷の小さい自然冷媒を採用する必要がある。しかし、その最も有望な自然冷媒である炭酸ガスは膨張仕事の増大のため,大きなコンプレッサ仕事を必要とし,成績係数が低下する.エジェクタはこの無駄に捨てられている有効な二相流の運動エネルギーを回収し、圧力のエネルギーに変換して、コンプレッサ仕事を軽減し、冷凍サイクルの効率を高めることができる。この二相流エジェクタの効率をさらに高めるために、エジェクタのノズル出口と吸引部に発生する膨張波の特性を詳しく調べ、吸引効率を改良することが本研究の目的である。 そのため、本研究では炭酸ガス給湯器の中にエジェクタを組み込み、エジェクタのノズル出口の圧力場を詳しく測定するための実験装置を作製した。実際のエジェクタのノズルは製作コストの立場から断面は円筒形状であるが、本研究では、流れの可視化のためとワイヤーカッターによる加工性の容易さから2次元断面を有している。ノズル出口に1mm間隔に20本の静圧孔を設け、正確な圧力測定を行った。圧力測定には、これまで研究室で開発してきた熱伝対を利用する方法が取られた。この測定の結果、炭酸ガス二相流中には、気体の音速200m/sであるにも関わらず、100m/s程度の速度で超音速の形態を示す膨張波が出現することが実験で明らかになった。また、ノズル出口の中心部では、ノズルの外部で圧力がほぼ平坦になる領域が観測された。これはノズル出口端から発生する膨張波が、中心部に届くまでに下流に流されているためである。これらの現象は二相流の音速を使うことによって初めて解釈される。この実験より明らかにされた膨張波の特性の用いるとさらに高性能のエジェクタを開発することが出来る。
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