2010 Fiscal Year Annual Research Report
二相流膨張波の吸引力を利用したノンフロン炭酸ガス冷凍サイクルのエジェクタの研究
Project/Area Number |
21560210
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
中川 勝文 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50135414)
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Keywords | 冷凍サイクル / 炭酸ガス / エジェクタ / 膨張波 / 二相流 / 超音速 / 衝撃波 / 成績係数 |
Research Abstract |
現在普及しているR-134aのような代替フロン冷媒は地球温暖化防止のため削減が義務づけられている。このため、環境負荷の小さい自然冷媒を採用する必要がある。しかし、その最も有望な自然冷媒である炭酸ガスでさえ、その膨張仕事の増大のため,大きなコンプレッサ仕事を必要とし,かえってエネルギー消費のため炭酸の排出量が増加させてしまう.エジェクタはこの無駄に捨てられている膨張エネルギーを回収し、冷凍サイクルの効率を高めることができる。本研究の目的は、エジェクタのノズル出口と吸引部に発生する膨張波の特性を詳しく調べ、吸引効率を改良し、二相流エジェクタの効率をさらに高めることである。 昨年度の実験によって、エジェクタの二相流ノズルから噴出する二相流中に生ずる膨張波と衝撃波の特性を調べた。その結果、分散波のように緩やかに変化する圧力波として出現することが明らかになった。本年度はこの膨張波の特性に対して、運動量、エネルギー及び物質輸送のモデルをたて、相変化する高速二相流の新しい理論を構築し、この理論を基にCIP法を使用した解析プログラムを開発した。このプログラムにより、エジェクタの混合部のような複雑な二相流の流れ場の数値的定量的な解明が可能になった。 これを用いて、本学で作成したコンパクトエジェクタを改良した。本年度の実験的な研究では、特に、炭酸ガス冷凍サイクルの中間熱交換器の役割について詳しく研究した。その結果、エジェクタを用いる冷凍サイクルでは、中間熱交換器は蒸発器の入口温度を低下させ蒸発量を増加させるだけではなく、エジェクタ出口の冷媒を加熱するので、コンプレッサ入口圧を低下させることなく冷媒を圧縮でき、冷凍サイクルの効率を増大させることが明らかになった。 本研究で得られた結果は炭酸ガスエジェクタ冷凍サイクル設計に大きく寄与し、さらに高性能のエジェクタが開発される可能性がある。
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