2011 Fiscal Year Annual Research Report
乱れのスペクトルによる非定常乱流火炎伝播機構のモデリング展開
Project/Area Number |
21560218
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北川 敏明 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40214788)
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Keywords | エネルギー / 燃焼 / 乱流火炎 / 火炎伝播機構 / モデル化 |
Research Abstract |
国内随一の高圧定容乱流燃焼装置を用いて,球状伝播する非定常予混合乱流火炎の断層写真撮影を行った.この断層写真により,火炎周長,局所の火炎曲率など乱流火炎面形状に関する特性を得た.また,乱流火炎の反応進行変数の分布を得た. 本研究の目的は,定常バーナー乱流火炎などとは異なり,球状伝播火炎の乱流燃焼速度が伝播中に増大し続ける原因を明らかにするとともに,この球状伝播乱流火炎の伝播機構をモデリング手法を通じて明らかにすることであった.ここで,乱流燃焼速度は,乱れによる火炎面積の増大と,乱れによる火炎伸長に起因する局所火炎面燃焼速度の変化のふたつの要因により決定されているものと考えられる. そこで,上述の目的を達成するために,まず,火炎伝播および混合気圧力が高くなるにつれて,火炎面積が乱流時に層流時からどの程度増加しているのかを,定量的に明らかにした.そして,これらの火炎面形状には,乱れのスペクトルに基づく空間スケールなどの特性が影響しているものとの考えに基づき,モデリング手法を適用して考察を行った.その結果,火炎伝播中の乱流燃焼速度増大は,おもに火炎の反応進行変数が火炎の半径方向の広い範囲に分布する大きなスケールでの変形に起因することが明らかとなった.また,混合気圧力が高くなると,火炎厚さと乱れ渦の最小スケールであるコルモゴロフスケールが小さくなり,小さなスケールの凹凸が火炎面に形成されるために燃焼速度が増大することを明らかにした. さらに,乱れによる火炎伸長に起因する局所火炎面燃焼速度の変化も,層流火炎の火炎伸長時の類推から,乱流カルロビッツ数を用いて定量的に予測できることを明らかにした. これらの知見は,今後ますます重要とされる実用的な乱流燃焼速度モデルを構築するうえで,有用な知見となるものと考えられる.
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Research Products
(3 results)