2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560225
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
小野 直樹 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20407224)
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Keywords | 流動沸騰 / 衝突流 / 表面張力 / ミニチャンネル / マランゴニ対流 / 冷却 |
Research Abstract |
本研究は,通常の液体と異なり温度を上昇させると表面張力の値がある温度以上では上昇するという特異なアルコール水溶液(ブタノール水溶液等)を活用して衝突流に沸騰を併せた流動様式での冷却技術に関する研究である. 本年度はガラス製T字路および樹脂製T字路のミニチャンネルを用いた衝突流沸騰のドライアウト特性の把握実験と,沸騰気泡を模擬した空気の微小気泡の気液界面でのマランゴニ対流の観察実験を実施した. 昨年までの実験装置の改善によってドライアウト現象を繰り返し捉えることができるようになったので,本年度はドライアウト特性の把握に注力した.その結果,特異なアルコール水溶液である,ブタノール水溶液(3%)およびペンタノール水溶液(1.5%)を用いることで,ドライアウト点の熱流束は純水と比べて樹脂製T字路(1辺3mmの矩形管)の場合はそれぞれ約2倍および約2.4倍に増加することがわかった.またドライアウト熱流束値にはアルコール濃度依存性があり,ブタノール水溶液は3%,およびペンタノール水溶液は1.5%で極大値を得ており,その前後で値が低下することも見出した. またマランゴニ効果の効き方を考察するため,近似ではあるが空気の微小気泡(直径約3mm前後)を加熱面に置き,温度勾配をかけた時のマランゴニ対流の観察を実施した.その結果,ブタノール水溶液を使用すると,その特異な温度依存性(60度付近で温度依存性の正負が逆転する)に従い,温度上昇の途中で対流の方向が反転する現象が見られた.この現象を数値流体シミュレーションで模擬したところ同様な反転現象が再現できたので,特異な温度依存性による温度マランゴニ対流の実験的な証明と言えよう. 以上のように最終年度である本年度は,ドライアウト特性に関する詳細なデータを得ることができ,またマランゴニ対流の観察についても技術的に進展し,将来の展開の基礎作りができたと言える.
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