2011 Fiscal Year Annual Research Report
浮遊液滴の回転振動特性と内部・外部流動に関する研究
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21560230
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
渡辺 正 独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (50391355)
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Keywords | 浮遊液滴 / 回転振動特性 / 数値シミュレーション / 振動圧力 / 表面流れ / ボルツマン方程式 / ナビエトークス方程式 |
Research Abstract |
本研究課題では、結晶製造及び物性測定に用いる浮遊液滴技術の中心課題である回転振動液滴の挙動を明らかにするため、液滴内外の巨視的な流れ場を、スケールの異なる2種類の数値シミュレーションにより検討する。23年度は、巨視的なレベルの数値シミュレーションのために開発整備を行ってきた非圧縮性ナビエストークス方程式に基づくシミュレーションコードを用いて、液滴表面近傍の微視的な流れを再現するために開始した詳細な計算格子を用いたシミュレーションを継続して実施した。ここでは、液滴に作用する振動圧力場を、計算格子自体の振動及び擬似的な圧縮性による微小密度変化により模擬するものとしており、流体の運動方程式及び液滴表面位置の移流方程式の対流項に振動する座標速度を導入するとともに、圧力変動に対応する密度変化を考慮している。振動圧力場内の液滴表面に誘起される流れ場について、物性および振動条件は既存の実験条件を模擬しているため、計算格子やタイムステップが計算結果に及ぼす影響を検討した。これにより、計算領域の大きさが異なる場合でも液滴周囲に大きな定常渦流れが現れること、液滴表面近傍には渦流れと異なる表面流れが形成されること等を確認した。これらの結果により、巨視的なシミュレーションモデルを用いても、ナビエストークス方程式が成立する連続領域であれば、微視的な流れ場の再現が可能であることが明らかになった。さらに、ナビエストークス方程式よりも微視的なレベルの数値シミュレーションを実施するため、分子運動論かち導かれたボルツマン方程式に基づくシミュレーションプログラムの開発に着手した。気相と液相の密度差があまり大きくはない仮想的な条件においてではあるが、試験計算を実施し、基本的な液滴振動は模擬できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、振動圧力場における液滴外部流れ場の特性を明確にし、巨視的なシミュレーションモデルの微視的な流れ場への適用性について明らかにすることができた。また、微視的シミュレーションのためのプログラム開発に着手し、試験計算を実施する段階に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
巨視的なレベルの数値シミュレーションのために開発整備を行ってきた非圧縮性ナビエストークス方程式に基づくシミュレーションコードを用いて、振動圧力場における液滴外部流れの特性を明らかにするための検討を継続する。また、ナビエストークス方程式よりも微視的なレベルの数値シミュレーションを行うために、分子運動論から導かれたボルツマン方程式に基づくシミュレーションプログラムの開発整備を継続して進め、巨視的なシミュレーション結果との比較をめざす。
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Research Products
(4 results)