Research Abstract |
平成21~22年度において,静止構造物に対して,数学モデルの不確定性を考慮する新しい診断手法を提案し,はり構造物に対して数値的および実験的に検証した.そして22年度には,研究を発展させるためクラックを有するはりの異常診断,回転機械の異常診断を行う準備を進めた. 平成23年度は,初めにブリージングクラックを有するはりの異常診断を行った.オープンクラックと異なりブリージングクラックでは,応答に外力同期成分と二倍の高調波成分が現れるので両者を総合的に評価する手法の構築を行い,数値例で妥当性を検証した.その結果,提案手法で正しい異常診断が可能であることが示された.次に実験装置を制作した.クラック部分は,あらかじめ作成した切り欠さに別の部材を挿入することで実現した.正常状態と異常状態の応答の違いから,異常発生位置の同定,クラック深さの同定が可能であることを示した. 次に回転機械の異常診断を行った.回転機械の場合は,許容範囲内の初期不つり合いと発生した異常の方向が必ずしも一致しないので,初期不つり合いあるいはキーを基準とした位相を考慮して異常診断を行う必要がある.数値例では提案手法の妥当性が示されているので,実験的な検証を行った.柔軟シャフトに円板が一枚あるいは二枚取り付けられている回転機械を構築し,異常の例として円板への不つり合いの付加とシャフトへの接触を実際に発生させ検証を行った.その結果,不つり合いの場合は,異常発生位置,不つり合いの位相と大きさが十分な精度で診断できることが示された.また接触については,十分な精度で発生位置が同定できることがわかった. 以上の結果を学術論文にまとめるとともに,国内学会,国際会議で成果発表した.また研究成果報告書を作成した.
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