2011 Fiscal Year Annual Research Report
可制御領域の比較に基づく非線形制御系の机上検証手法とその車両運動制御系への応用
Project/Area Number |
21560250
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
堀内 伸一郎 日本大学, 理工学部, 教授 (30181522)
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Keywords | 機械力学・制御 / 制御系検証 / 車両運動制御 / 最適化 |
Research Abstract |
制御系の机上検証問題は,実システムの運用に際して安全性の面から見ると制御系設計問題と同等,あるいは制御系設計問題以上に重要であるにも関わらず十分な研究がなされておらず,現場的な経験とシミュレーションに頼っているのが現状である.本研究の目的は,この問題に対し解析的な検証手法を開発し,車両運動制御系への応用例からその有効性を示すことである. 本研究は最適制御理論に基づいて可制御領域を数値的に求めることが一つのポイントであるため,確実に最適制御入力を求める最適化手法が重要となる.昨年度までの検討でマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いた最適化手法や DIRECT(DIviding RECTangles}と呼ばれる大域的最適化手法を検討し,最終的に逐次2次計画法とMulti-start techniqueを組み合わせた最適化手法を用いることに決定した.この最適化手法を適用することにより,許容される範囲の入力を用いて指定された有限時間内に安定な平衡点に到達可能な初期値のノルムを最大化する制御入力を求める最適化問題として,可制御領域の境界を求める手法を提案した.このとき,多次元の可制御領域を効率的に求めるため,ray-griddingアルゴリズムを適用した.この方法では多次元空間内において運動を代表する2次元平面を選び,この平面内で安定平衡点から放射状にグリッドを作成し,各放射線上で可制御領域の境界を求める. 提案する方法の応用例として,車両の制御方式の効果を可制御領域の大きさによって評価した.まず,通常の前輪操舵車について入力の上下限,安定平衡点への到達時間を変えたときの可制御領域を求めた.さらに,四輪操舵車,直接ヨーモーメント制御車の可制御領域を求め,それぞれの制御方式の優劣を評価した.その結果,四輪操舵より直接ヨーモーメント制御の方が可制御領域が大きくなることがわかった.この結果は直接ヨーモーメント制御の有効性を理論的に示すものである. これらの研究成果は国際学会で発表し,国際的な学会誌Vehicle System Dynamicsへの掲載が決定している.
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Research Products
(3 results)