2010 Fiscal Year Annual Research Report
大トルク直接駆動横磁束形永久磁石ディスク同期電動機の提案と実証研究
Project/Area Number |
21560291
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古関 隆章 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20211899)
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Keywords | 永久磁石 / 同期機 / 大トルク / 電動機制御 / コギング / 磁界解析 / 磁気回路 / 電動機設計 |
Research Abstract |
平成22年度は、昨年度予算で製作した二号試験機の測定を行い、以下の事実を明らかにした。 (1)二号機に加えた永久磁石のスキュー効果により、一号機で致命的であったディテントトルクが緩和された。さらに、電機子巻線の巻数および全体の電機子コア数を18に増やし、基本トルクが増強できた。このため、自起動を可能にできた。 (2)しかし、理論計算による期待よりも試験装置において実際に生じたディテントトルクは大きく、回転試験時の振動が大きく、円滑な駆動は得られなかった。 (3)さらに、電動機としての組立を完成した後に、手で回してみた結果、平均的な抵抗トルクが大きく、その結果、無負荷試験における、入力電力が予想外に大きいものとなってしまった。抵抗トルクの存在は、内部のエネルギー損失とそれに伴う好ましくない発熱を意味する。 (4)その原因調査のため温度センサを各所に実装し温度上昇箇所を調べた。回転子磁石保持のっためのステンレス円板の温度上昇が顕著であった。 (5)このことから、回転子ステンレス円板に生ずる渦電流損が大きく、抵抗トルクと損失(温度上昇)の原因となっていると結論した。その結果、当初の研究計画を大幅に変更し、この想定外の欠点を、ディテントトルクの抑制と共に根本的に解決するための三号機の設計・製作を行うことが必要であるとの判断に到った。 (6)一方で、(1)で述べたとおり、電機子巻線の巻数の増加と鉄心密度の上昇に伴い、二号機設計の際に想定した、平均トルクの増強が達成できたことは確認した。 (2)(5)はいずれも、実用化を考える際に甚だ好ましくない問題であることかた、これらの欠点を根本的に解決すべく、電機子磁極の配置法、回転円板の材質を見直し、さらに制作時の組立を容易とする根本的設計変更を行い、最終年度の試験に向けた三号機の設計・製作を行った。
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