Research Abstract |
本研究の目的は,磁気歪と電磁力を考慮した磁界・振動・音場併用解析法を開発するとともに,インバータ用リアクトルに適用し,騒音の発生メカニズムを明らかにするとともに,低騒音化を図ることである.本年度得られた成果を要約すると以下のようになる. 1.時間領域における磁界・振動併用解析法の開発 昨年度までに開発した磁界・振動併用解析法では,磁界解析は時間領域で離散化し,振動解析は通常の周波数領域で離散化した解析法を用いていた.これらの併用解析では,鉄芯の変形を無視した磁界解析で得られた時間領域の力の結果を周波数領域に変換した後,振動解析を行うため,磁界解析では鉄芯の変形が考慮できない.そのため本年度,鉄芯の変形も磁界解析で考慮するため,時間領域の振動解析法を開発し,時間領域で磁界解析と振動解析を交互に行う併用法を開発した.さらに,簡易な線形モデルを用いて,開発した時間領域の併用解析法と従来法の比較を行った.その結果,周波数領域の振動解析で見られる鉄芯の共振現象が時間領域の振動解析では再現できなかった.これに関しては,今後の検討課題である. 2.騒音低減法の検証実験 昨年度に騒音低減法として提案した,鉄芯間に挿入する絶縁物の最適な硬さの決定法とギャップの配置法の有用性を単相リアクトルを用いて検証実験した.その結果,絶縁物の硬さの最適化により,騒音の最大値が約10dB低減できた.しかしながら,提案したギャップの配置法であるヨークにもギャップを設ける方法に関しては,実験では効果が確認できなかった.これに関しては,製作上の問題と予想されるが,今後の検討課題である.
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