2010 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性トンネル接合界面における波動関数の対称性を測る
Project/Area Number |
21560322
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
櫻井 浩 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80251122)
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Keywords | 電気・電子材料 / スピンエレクトロニクス / 放射線・X線・粒子線 |
Research Abstract |
本研究の目的は、強磁性トンネル接合界面の磁性電子の波動関数の対称性とコヒーレントトンネル状態にある電子の直接観測と解析である。そのために (1)DV-Xa法を用いた磁気コンプトンプロファイルシミュレーターの開発と理論的検討(2)Fe/MgO人工格子などの試料作製と界面の波動関数の対称性の観測(3)コヒーレントトンネル電子の波動関数の△1対称性の直接的観測への挑戦。の3つの課題を設定している。 (1)に関して、平成22年度はコンプトンプロファイルを直接計算する計算コードの開発に成功した。構成原子の少ない簡単な系について、実験で得られたコンプトンプロファイルと理論計算を比較した。 (2)に関しては平成21年度でほぼ計画が終了し、発表、論文執筆の準備を開始した。 (3)に関して、Fe/MgO多層膜の磁気コンプトンプロファイルの磁場依存性を測定し、コヒーレントトンネル電子の波動関数の直接的抽出に挑戦した。その結果、磁気コンプトンプロファイルの磁場依存性が観測され、△1対称の波動関数の磁場依存性が顕著であることがわかった。この成果が初めての磁気トンネル電子の直接観測の成功なのかを慎重に見極める必要がある。そこで、TMR効果を示さない界面の酸化したFe/MgO試料、コヒーレントTMR効果を示さないFe/Al2O3磁気トンネル接合膜について試料を作製した。さらに、磁気コンプトンプロファイルの磁場依存性を測定するためSPring-8課題申請し、2011A1115として採択された。
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Research Products
(29 results)