2009 Fiscal Year Annual Research Report
アゾベンゼンをコートしたナノ粒子の混入によるPEの耐トリーイング性向上
Project/Area Number |
21560323
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山野 芳昭 Chiba University, 教育学部, 教授 (90134791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 正明 千葉大学, 教育学部, 准教授 (40396669)
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Keywords | 電気絶縁 / 電気トリー / 高分子絶縁物 / ナノコンポジット / アルミナ / アゾベンゼン / 低密度ポリエチレン |
Research Abstract |
耐電気トリーイング性向上を目的として、Al_2O_3ナノ粒子によるLDPE(低密度ポリエチレン)のナノコンポジットにおけるナノ粒子の分散性の向上とナノ粒子の表面改質を図るため、3種類のアゾベンゼン系物質をAl_2O_3ナノ粒子表面にコートしたものを用いて、LDPEのナノコンポジットを作製した。使用した3種類のアゾベンゼン系物質は、アゾベンゼン(Az)、Azにアミノ基(電子供与基)を付加したもの(Az-Am)およびAzにニトロ基(電子受容基)を付加したもの(Az-NO)である。Al_2O_3ナノ粒子とアゾベンゼン系物質のLDPEへの混合比は、それぞれ5wt%および1.5wt%である。上記の混合比でナノコンポジット化を行ったブロック状材料に、先端曲率半径5mm,先端角30゜,太さ1mmの鉄製の針を挿入し、電極間隔3mmとしたものを試料とした。作製した試料について、トリー発生電圧とトリー発生から絶縁破壊に至るまでの時間(進展時間)について測定を行った。 測定の結果、トリー発生電圧(交流50Hz印加)は、Al_2O_3粒子のみの試料(Al試料)はLDPE試料(無添加)とほぼ同じ値(12kV)、Az系物質のみを混入した試料は、付加した基の種類にかかわらず、22kVであった。また、Al_2O_3粒子とAz系物質の両方を混入した試料(Al+Az試料)は、Azに付加した基の種類への依存性を示し、(Al+Az-Am試料)>(Al+Az試料)>(Al+Az-NO試料)となり、その値はそれぞれ26kV、22kVおよび18kVであった。一方、進展時間(交流100Hz)は、無添加試料とAz系のみを混入した試料については、その差が見られず両者とも100minであり、Al試料は180minであったのに対して、(Al+Az試料)では2000minとなり、進展速度の抑制にAl_2O_3ナノ粒子とAzの両方を混入した効果が顕著に現れた。また、AFMにて作製した各試料材料の表面を観測したところ、(Al+Az試料)においてはAl_2O_3ナノ粒子の分散性が、(Al試料)と比較してきわめて良好であることが確認できた。
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Research Products
(2 results)