2011 Fiscal Year Annual Research Report
アゾベンゼンをコートしたナノ粒子の混入によるPEの耐トリーイング性向上
Project/Area Number |
21560323
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山野 芳昭 千葉大学, 教育学部, 教授 (90134791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 正明 千葉大学, 教育学部, 教授 (40396669)
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Keywords | 電気絶縁 / 電気トリー / ナノコンポジット / トリー発生電圧 / 酸化アルミニューム / アゾベンゼン / 低密度ポリエチレン / トリー進展速度 |
Research Abstract |
アゾベンゼン系(Ab系)物質およびAl_2O_3ナノ粒子(Al粒子)のLDPEへの添加(複合添加)がトリーの発生と成長そして伸展に及ぼす影響について、Ab系物質の種類、添加濃度そして電圧印加方法を変化させながら検討を行った。使用した3つの添加剤のうち、Az(基の付加がないアゾベンゼン)が最も安定して高いトリー発生電圧を示すことから、Ab系物質としてAzのみに絞って詳細な検討を行った。 試験の結果、Azを2.0wt%、Al粒子を3wt%添加した試料は、耐トリーイング性を十分に発揮できることがわかった。この添加濃度の試料は、無添加試料と比較して、トリー発生電圧は約2/5倍の上昇がみられ、トリー伸展速度は約1/50に抑制される。また、トリー伸展速度測定時の電圧印加方法を変化させると、伸展速度の抑制効果はさらに発揮されるようになる。たとえば、10kV一定の状態で試料に電圧を印加し続けた場合、電圧印加からトリー発生までの時間は、無添加と比べて200倍以上長くなる結果を得た。これらの現象は、トリー発生に基づく部分放電の発生状況からも裏付けできる。つまり、Azを2.0wt%、Al粒子を3wt%添加した試料においては、部分放電が観測されなくなる場合(放電電荷が3pC以下)が見られる。これらの結果から、AzとAl粒子のLDPEへの複合添加は、電圧印加から初期トリーの発生段階までの過程(主としてトリー潜伏期間)で顕著に耐トリーイング性能を発揮することが明らかになった。 トリー潜伏時間の著しい長期化は複合添加試料でのみ観測される。これは、Azを添加するとLDPE中のナノ粒子の凝集が緩和され、ナノ粒子の界面の総面積が増加することにより、トリー進展抑制に及ぼすナノ粒子界面の効果が大きく寄与しているためと考えられる。トリー進展抑制に及ぼすナノ粒子界面の効果としては、拡散電気二重層および界面への電荷蓄積などによる電界緩和効果が考えられる。
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Research Products
(3 results)