2009 Fiscal Year Annual Research Report
分極制御による薄膜材料の多元的圧電特性評価技術の開発
Project/Area Number |
21560328
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神野 伊策 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (70346039)
|
Keywords | 圧電 / 薄膜 / 圧電すべり効果 / PZT / MEMS |
Research Abstract |
本年度は薄膜材料の圧電特性評価技術開発に向けてエピタキシャル成長,および微細加工に関する研究を推進した.特に,圧電薄膜としてはこれまで報告例の最も多いPZT薄膜を用い,(001)MgO等の基板上に形成したc軸配向エピタキシャル薄膜の圧電すべり特性を計測の対象とした. 圧電すべり特性の計測において最も重要な点は分極方向に対して平行に対向電極を形成する点であり,今回PZT薄膜を幅約30μmの細い矩形上に微細加工しその側面に分離した電極を形成した. MgO基板上にはPZT薄膜がc軸に配向する性質を利用し,側面電極により分極に対して垂直に電界を印加することができる. 次に,側面電極間に電圧を印加し,圧電すべり効果により発生する面内変位を計測した.測定は面内変位が測定可能なレーザードップラー振動計を用いて,微小振動を測定した.測定の結果,電圧に比例した圧電すべり振動が計測できた.側面電極内部に発生した面内方向の電界を有限要素法を用いて測定し,電界と変位量の関係から圧電すべり定数d15を測定した結果,440pm/V程度の値が得られた.この値はこれまで報告されているPZT薄膜の圧電横効果および圧電縦効果よりも非常に大きな値であり,バルクPZTに匹敵する値を有していることが明らかとなった. この他,PZTのMEMSデバイス応用の観点から比較的厚いPZT膜を形成し,その圧電横効果を測定した.本研究では,比較的簡便な手法により成膜したPZTにおいて良好な圧電特性を有していることを示した.
|
Research Products
(9 results)