2011 Fiscal Year Annual Research Report
水蒸気プラズマ処理によるGaN系半導体の発光増大機構の解明と発光デバイスへの応用
Project/Area Number |
21560330
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上浦 洋一 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30033244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 善文 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80251354)
関口 隆史 物資・材料研究機構, 半導体材料センター, グループリーダー (00179334)
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Keywords | InGaN / 水素プラズマ処理 / 水蒸気プラズマ処理 / 原子状水素 / 発光 / フォトルミネッセンス / カソードルミネッセンス |
Research Abstract |
本研究では、MOCVD法によりサファイアc面上に成長させたMg-doped p型In0.1Ga0.9Nの発光に関して、3種類のガス種(水蒸気、水素、酸素)を用いたリモートプラズマ処理(RPT)による増大効果を調べること、その機構を解明すること、および発光の熱的安定性を検討することを目的として研究を行った。300℃で80分間の水蒸気RPTにより442nmに非常に強い発光を観測した。この発光は、as-grown状態で観測された415nm付近の発光と比較すると、ピーク強度比で約19倍の強さであることとドナー・アクセプタ・ペア(DAP)発光であることより、別の発光機構によるものであることが分かった。次に、酸素RPTと水素RPTをそれぞれ300℃で80分間行ったところ、酸素RPTでは発光が増大せず、水素RPTでは発光が増大したがDAP発光ではなかった。また、as-grown発光は300-600℃でのアルゴン雰囲気中熱処理により減少したが、その後300℃で80分間の水蒸気RPTによりDAP発光が現れた。これらの結果より以下の結論が得られた。1.発光増大には水素が関与した以下の2つの機構が寄与している。2.一つは原子状水素による非発光欠陥の不活性化であり、他の一つは水素と酸素に関係した新たなドナーレベルの形成である。このドナーレベルとMgアクセプタがDAP発光に関与している。3.水素RPTでは非発光欠陥の不活性化のみが生ずるが、水蒸気RPTでは両者の発光機構が働く。4.as-grownの発光が減少したのは、成膜時に原子状水素によって不活性化されていた非発光欠陥が熱処理により再活性化したためである。以上の結果は照明用白色LEDの高効率化に応用可能であり、地球の低炭素化や環境保全に寄与するものと考えられる。
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Research Products
(1 results)