2011 Fiscal Year Annual Research Report
クラスレート化合物のナノ機能分離構造を利用した磁電・熱電機能素子の開発研究
Project/Area Number |
21560332
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小柳 剛 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90178385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 裕法 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70201887)
岸本 堅剛 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (50234216)
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Keywords | クラスレート化合物 / 熱電特性 / ゼーベック係数 / 熱伝導率 / 焼結体 |
Research Abstract |
今年度は、熱電クラスレート化合物の性能向上の研究を主に行った。Snクラスレート化合物で、焼結体試料のp型の性能を向上させるために、Snの一部をGeで置換したBa_8Ga_ySn_<46-x-y>Ge_xの作製を行った。Ga組成y=19に固定して、Geの組成をx=0~10と変化させた試料については、このGe置換量の範囲では、格子定数がGe置換量xにほぼ比例して減少し、Geが置換されているものと考えられた。これらの試料のキャリア密度と移動度は無置換の試料に比べて増加し、Ge置換量xの増加に伴って、それぞれ増加した。これは、p型の組成領域では、もともと格子が不安定であるのに対して、Geが格子の中で置換されると、結合長の短いものが導入されて格子が安定化し、アクセプタであるGaの活性化またはキャリアをトラップする欠陥の減少によるキャリア密度の増加、キャリアの伝導を妨げる欠陥や構造の乱れの減少による移動度の増加が考えられる。この結果、出力因子は、Ge置換量x=4で、最大12.4μW/cmK^2(500K)に達した。格子熱伝導率は、Ge置換量xの増加に伴って、x=8までは減少したが、それ以上では、格子定数の減少に伴った、カゴが小さくなり、ラットリング減少が抑制されるために、格子熱伝導率は増加した。 熱電性能が最も良かったGe置換量x=8に固定して、Ga置換量yをy=12~20まで変化させて、キャリア密度を制御した試料 Ba_8Ga_ySn_<27-x>Ge_<19>を作製した。y=14以下ではn型、y=16以上ではp型の伝導を示した。p型試料では、x=20ではキャリア密度はρ=10^<21>cm^<-3>に近いものが得られた。この試料は出力因子の最大値が52μW/cmK^2とこれまでになく異常に高く、無次元性能指数はZT=1.2(450K)を超えた。この値は、これまでの焼結体で得られた値をはるかに超えた。
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