2011 Fiscal Year Annual Research Report
光化学エッチングで3次元構造を形成した酸化チタン・ポリアニリン膜による光蓄電池
Project/Area Number |
21560335
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
野見山 輝明 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 助教 (60274859)
|
Keywords | 光蓄電池 / 太陽電池 / 光電気化学 |
Research Abstract |
H23の研究目標を(1)から(4)に記し,成果を各項ごとにまとめている。 ●目標(1)更に層厚の制御を精緻化し,光蓄電量子効率を80%程度まで上昇させる:TiO_2多孔膜の成膜方法を改善し,種々の層厚で光蓄電効率を測定した。その結果,終了時に27%程度までしか上がらなかった。これは厚いPANi蓄電層ではPANiが劣化し,更にTiO_2層の発電量子効率が30%程度で飽和することが原因であった。 ●目標(2)電着時の電流密度を変化させTiO_2-PANi間の電荷移動,蓄電反応の反応速度や時定数を明らかにする:先の(1)の層厚による効率の変化,蓄電深度によるPANiの色変化から,光蓄電の各ステップ(光照射→光電変換→イオン脱ドープ→放電)での電荷・イオン移動量を見積もった。 ●目標(3)最適化された層厚と時定数のデータから,Ti_O2-PANi複合電極の光蓄電反応の速度論的モデルを構築する:先の(2)から速度論・量論的な光蓄電モデルを構築した。これよりTiO_2多孔膜の励起電子注入によるPANiの充電効率が90%程度と非常に高く,本課題の着想である多孔膜と高分子の3次元構造による光電気化学反応が非常に効率が高いことが示された。 ●目標(4)今後の将来のTiO_2層の可視光応答化に向けて,光蓄電電極の設計指針を明確にする:先の(1)から,TiO_2層の発電速度が効率を律速していることが分かった。これより,可視光応答化の予備実験として金ナノ粒子を担時したTiO_2多孔膜を用いて,表面プラズモン共鳴による可視光応答を測定した。その結果,効率は低いものの,金ナノ粒子による可視光吸収とTiO_2の紫外光吸収による光蓄電が観測された。これより,今後の電極設計指針として金ナノ粒子を用いた可視光応答が有望であることが分かった。
|