2010 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電体・蛍光体ナノ複合構造によるメモリ効果と光電変換型不揮発性メモリへの応用
Project/Area Number |
21560338
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
會澤 康治 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40222450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
得永 嘉昭 金沢工業大学, 工学部, 教授 (00072174)
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Keywords | 不揮発性メモリ / エレクトロスミネセンス / STO単結晶基板 / Eu添加SBT / BST / スピンコート法 / フォトルミネッセンス(PL) / ヒステリシス特性 |
Research Abstract |
本研究は、新しい原理に基づく不揮発性メモリとして、発光層を強誘電体薄膜で挟んだ二重絶縁型強誘電体エレクトロスミネセンス(EL)素子とフォトダイオードとの組み合わせを一つの記憶セルとする光・電子融合型不揮発性メモリの実現を目指している。平成22年度は、素子の低電圧駆動を目的に用いたチタン酸ストロンチウム(STO)単結晶基板を用いた薄膜積層構造について検討を行った。以下には、蛍光性強誘電体にユーロピウム添加タンタル酸ビスマス・ストロンチウム(Sr_0.8Eu_0.2Bi_2Ta_2O_9 : Eu-SBT)を、絶縁性強誘電体として高誘電率かつ自発分極を有する(Ba_0.6, Sr_0.4)TiO_3(BST)をEu-SBT上に形成したBST/Eu-SBT/STO構造のフォトルミネッセンス(PL)特性や分極特性などの評価結果について報告する。 試料はスピンコート法で1cm角のSTO(110)基板上にEu-SBTとBSTの薄膜を形成した。具体的にはEu濃度3.0wt%のEu-SBT溶液を2000rpmでスピンコート後、140℃の乾燥処理と350℃の仮焼成処理を行い、最後に大気中750℃以上で30minの結晶化処理を行った。さらにEu-SBT上にBSTを塗布・乾燥・仮焼成後850℃で30min間の結晶化処理を行いった。最後にDCスパッタ装置を用いて面積が2.4×10^<-3>cm^2の白金(Pt)電極をBST上に形成した。 作製した試料のX線回折測定結果からBST薄膜は多結晶であったが、Eu-SBT薄膜はSTO(110)基板上に形成したEu-SBT(単層)の測定結果と類似した(116)配向であった。またSTO(110)上のEu-SBTは、Eu^<3+>に起因する電子遷移^5D_0→^7F_1、^5D_0→^7F_2、^5D_0→^7F_4のPLピークと残留分極+P_s=3.7μC/cm^2のヒステリシス特性を確認した。更に本構造における動作電圧の見積もりを行ったところ、動作電圧10Vを目標とした場合の目標膜厚が16nm以下(電圧比1:1)であることがわかった。以上の結果から、Eu-SBT/BST/STO構造は本研究目的の達成のために適していると思われるが、低電圧動作のためには更なる薄膜化が必要であることもわかった。
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Research Products
(4 results)