2009 Fiscal Year Annual Research Report
高品質Bi-2223単結晶薄膜の作製と固有ジョセフソン接合THz発振素子への応用
Project/Area Number |
21560339
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
遠藤 和弘 Kanazawa Institute of Technology, ものづくり研究所, 教授 (50356606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立木 昌 筑波大学, 大学院・数理物質研究科, 研究員 (20028111)
有沢 俊一 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノテクノロジー基盤萌芽ラボ, 主幹研究員 (00354340)
内田 貴司 防衛大学校, 電気情報学群電気電子工学科, 教授 (50531802)
立木 隆 防衛大学校, 電気情報学群電気電子工学科, 准教授 (60531796)
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Keywords | ビスマス系酸化物超伝導体 / テラヘルツ発振素子 / 薄膜 |
Research Abstract |
固有ジョセフソン接合をもつ高温超伝導体BSCCOに電流を流すと、テラヘルツの周波数をもつ電磁波の発振が起る。最近、高いバイアス電流のある範囲で、安定で強い発振が観測された。この発振機構を固有ジョセフソン接合がLCR共振回路にはめこまれたというモデルを用いて理論的に解明することに成功した。この理論をつかって、テラヘルツ波の発振、増幅デバイスを設計し、良質のBSCCO膜を使ってデバイスの製作ができることが期待される。 テラヘルツ波発振を目指して薄膜を最適化するためには、誘電損失の少ない単結晶基板上に高品質なBi-2223薄膜を作製する必要がある。そこで、さまざまな配向を持つ低誘電率基板上にBi-2223薄膜を成長し、それらの超電導特性を調べた。その結果、薄膜と結晶基板の格子ミスマッチの異方性比(lattice mismatch anisotropy ratio)という新しいコンセプトを提案し、この異方性の比が1に近いほど、薄膜の超伝導特性が優れていることを見出した。このコンセプトは、目的とする薄膜の作製を可能にする格子エンジニアリング法の開発に資するだけでなく、それを使って実現したBi-2223薄膜の高い超伝導臨界電流密度や転移温度は、より高い周波数において、高出力かつ高温で作動するテラヘルツ波発振を可能にするものとして、その意義は大きい 作製された高品質なBi系酸化物超伝導薄膜を用いて、テラヘルツ波発振素子を実現するために、いくつかの膜厚の試料に対するテラヘルツ波放射特性を数値シミュレーションにより調べた。これより、膜厚に制限があるものの、厚さの2乗で放射出力が増加する傾向が示された。この結果は同薄膜からのテラヘルツ放射を実験で観測する上で重要な知見である。
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Research Products
(22 results)