2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境に優しい強誘電体ドメイン制御圧電材料及びデバイスの創出
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21560340
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小川 敏夫 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (40247573)
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Keywords | 電気・電子材料 / 誘電体物性 / セラミックス / 先端機能デバイス / 環境対応 / 弾性波速度 / ヤング率 / ポアソン比 |
Research Abstract |
我々はこれまで種々の圧電セラミックスでの【誘電・圧電特性のDC分極電界依存】を測定し、強誘電体ドメインの電界に対する挙動を明らかにしてきた。一方、最近、高周波超音波厚さ計により、DC分極処理の有無及びその程度によらず、縦波・横波速度を測定することにより、セラミックスの弾性定数を求める方法を開発した。この方法により、非鉛系圧電セラミックスの縦波・横波速度の組成依存、更に、ヤング率・ポアソン比の組成依存を調べた。 鉛・非鉛系を含む圧電セラミックスでは分極が進むと、試料組成によらず縦波速度V_L・横波速度V_sはそれぞれ上昇・降下した。ヤング率Y_11^E,ボアソン比δの組成依存から、(1)ニオブ酸アルカリ系(Na,K,Li,Ba)(Nb_<0.9>Ta_<0.1>)O_3-SrZrO_3,(2)チタン酸アルカリビスマス系(Na_<0.5>Bi_<0.5>)TiO_3-(K_<0.5>Bi_<0.5>)TiO_3[NBT-KBT]では高電気機械結合係数(高k)が得られる組成では、PZT系でのMPB付近(低Y_<11>E・高δ)と同様の傾向を示すが、(1)系の高k組成での相転移は報告されていない。一方、(3)チタン酸アルカリビスマスーチタン酸バリウム系NBT-BaTiO_3では高k組成は高Y_<11>E・高δで、更に、MPBの存在が確認されている。(2)系で圧電歪d_<33>定数160pC/Nが得られた(4)0.79NBT-0.2KBTへ1 mol% Bi(Fe_<0.5>Ti_<0.5>)O_3[BFT]添加組成では、BFTが無添加の0.82NBT-0.18KBTに比べ高Y_<11>^E低σとなる。更に、(1),(2)系ではドメインクランピング、即ち、圧電性が極小になる電界でMax.Y_<11>^E、Min.δが得られ、PZT系と同様であったが、(3),(4)系ではMin,Y_<11>E^Min.δとなった。一方、圧電性の上昇はPZT系も含めた(1)~(4)の総ての組成でδの増加に対応していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最近、本研究室で開発した高周波超音波厚さ計による「圧電セラミックスの縦波・横波速度を測定方法」により、セラミックスの弾性定数を求め、新たに強誘宅体ドメインの結晶配向度が分極の有無・その程度によらず弾性定数が評価できることが解った。このことが研究進捗度向上に大きく頁献したものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
「圧電セラミックスの縦波・横波速度を測定方法」と「電界に対するドメインの評価方法である分極電界依存」とを組み合わせた【縦波・横波速度及びヤング率・ポアソン比の電界依存】で解析を行う。更に、これに加え【誘電・圧奄特性及び弾性定数の分極電界依存】より圧電セラミックス、特に、非鉛系圧電セラミックスでの高圧電性発現のメカニズムに迫って行きたい。
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