2009 Fiscal Year Annual Research Report
Mgドープ半導体性C_<60>薄膜の構造と電気伝導の解明
Project/Area Number |
21560341
|
Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
小島 信晃 Toyota Technological Institute, 大学院・工学研究科, 助教 (70281491)
|
Keywords | フラーレン / ドーピング / 半導体物性 / エピタキシャル成長 / 分子性固体 / 太陽電池 / 薄膜トランジスタ |
Research Abstract |
有機太陽電池や有機薄膜トランジスタなどのデバイス特性向上に向けた研究として、MgドープC_<60>薄膜材料に着目し、その構造、および電気伝導に関する評価を行った。 基板にマイカを用いることで、エピタキシャル成長による結晶性に優れたMgドープC_<60>膜を作製した。Mg/C_<60>モル比が約0.1の試料について、透過型電子顕微鏡(TEM)により結晶構造評価を行ったところ、MgドープC_<60>膜はマイカ基板上でエピタキシャル成長し、単結晶膜が得られていることが確認できた。電子線回折像から、C_<60>の面心立方格子がドープ後も保たれていた。しかし、Mgドープ量を増加すると、結晶性の低下が観測された。そこで、成膜温度をより高温にして、結晶成長の成膜温度依存性を検討した。作製した薄膜の構造を、X線回折測定、ラマン散乱分光測定で評価したところ、高温で成長したMgドープC_<60>膜は多結晶化し、また、C_<60>分子同士が結合してポリマー化している可能性が示唆された。アンドープC_<60>膜では、こうした現象は起きないことから、ドープされたMg原子が、C_<60>のポリマー化を促進していると考えられる。 また、MgドープC_<60>膜の電気導電率のMg濃度依存性について、膜の結晶性との関係を検討した。その結果、面心立方格子が保たれ、良好な結晶性が得られるMg/C_<60>モル比が約1までの試料では、Mg濃度とともに導電率は向上し、さらにMg濃度を増加して結晶性が崩れると、導電率が減少することが示された。したがって、導電率と結晶構造には大きな相関があることが明らかになった。 さらに、MgドープC_<60>膜の光吸収と光導電率スペクトルの測定から、C_<60>の光学ギャップよりも低エネルギーに、アンドープC_<60>膜には見られない光導電率のピークが観測され、Mgドープにより電子構造が変化していることが示唆された。
|
Research Products
(11 results)