Research Abstract |
本研究の目的は,光書き込み・光消去方式による液晶電子ペーパーの創製である。表示原理として,液晶分子配向膜のアンカリング力(配向規制力)を変え,バルク中の液晶配列状態を制御する手法を提案する。 1.アンカリング力が架橋反応によって増加するポリビニルシンナメートを用いて,その液晶配向膜としての特性を評価した。その結果,ラビング処理を施した膜上では,液晶材料によりラビング方向と平行に配向するものと,垂直に配向するものがあることを,この配向現象は液晶の化学構造の違いによるものであり,分子軸に対する極性基の位置には依存しないことを明らかにした。また,垂直および平行に配向するそれぞれの液晶を混合することにより,配向容易軸の変化と混合割合を検討した。容易軸が切り替わる混合割合は,架橋反応表面か未架橋反応表面かによって異なることから,紫外線照射の有無により配向分割,すなわち液晶配列状熊を変えることができた。 2.液晶分子配列シミュレーション:フランクの弾性体理論とラフェニの表面アンカリングエネルギー理論にもとづき,有限なアンカリング力での液晶分子配列状態を数値解析的に求めた。本年は,ストライプパターンの配向分割をモデルとし,液晶の3種類の弾性定数が異なる場合において,方位角および極角方向のダイレクタ分布が算出できるようプログラムを変更しアンカリング力と分割(表示)分解能の関係を数値解析的に明らかにした.また,ホモジニアス,90°スイステッドネマチック配列においては,白黒表示となるため,この2値画像における擬似中間調表示特性の解析を行った。すなわち,白黒の面積階調によって中間調を表示する際の液晶ダイレクタ分布を計算し,ジョーンズマトリクス法を用いて透過率計算を行った。強アンカリング界面を想定した場合には,ストライプ幅が50ミクロン以下の時は,ほぼ面積に対応した透過率が得られることがわかった。
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